燃えた重いものがマンションのゴミ捨て場へ落ちてくるシーンから始まる物語です。
若草ハルナ(二階堂ふみ)は誰も居ない夜の旧校舎を、小さな灯りを手に走っています。
「どこ?」と声を掛けながら奥へ進むと、ガタンという物音が聞こえてきました。
そこにガムテープで閉じられたロッカーを見つけると、彼女は懸命に外して扉を開けます。
中からは裸にされて手足を縛られた同級生・山田一郎(吉沢亮)が転がり出て来ました。
山田に酷いいじめをしたのはハルナの彼の観音崎(上杉柊平)でした。
彼女は観音崎の行為を聞きつけて、山田を助けるためにひとり駆けつけたのです。
ハルナが見つけてきた服を着た山田は、静かな表情で彼女に礼を言います。
そして、二人は外へ出ました。
翌日、彼は夜に会えないかとハルナに問いかけます。
軽くOKしたハルナが約束の時間に待ち合わせ場所へ行くと、山田は彼女を草深い河原へと連れて行きました。
自分の宝物を見せてあげると言っていたのに、どこまで行くのだろうと考えていたハルナに
山田が「あった」とその宝物を指し示します。
それは、かなり白骨化した死体でした。
それにしても、キャラクターたちのリアルさにはびっくりしました。
真っ直ぐな心を持ちながらも、どこか醒めていて全てが他人事のように感じている若草ハルナ。
外見の美しさとは真逆の荒れた心や同性への愛を隠しながら生きている山田一郎。
弱い心を持ちつつも、自分のエネルギーを暴力とセックスでしか発散できない観音崎。
モデルとして活躍しながらも、過食症で食べては吐くを繰り返している吉川こずえ。
家庭ではいい顔を見せつつ、多くの異性とのセックスを繰り返しているルミ(土居志央梨)。
彼氏の山田の気持ちが自分の方へ向いていないことに不安を感じている田島カンナ(森川葵)。
そんな彼らの想いが交差した時、思いもかけない事件が起きてしまいました(T_T)
度々登場する公衆電話ボックスや、家族から呼ばれて電話を出たら彼からだったという
シチュエーションが何だか懐かしく感じました。
そして、舞台はまだ携帯電話の無い昭和の頃ですけど、彼らのような若者たちの不器用さや
エネルギーの熱さは、昔も今も普遍のような気がしました。
この作品がベルリン映画祭パノラマ部門で国際批評家連盟賞受賞したのもわかるなあと感じました。
観終った時、とにかく凄い映画を観たなあと圧倒されてしまった1本です。
監督:行定勲 出演:二階堂ふみ 吉沢亮 上杉柊平 土居志央梨 SUMIRE 森川葵
2017年 日本
(20180308)
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公式サイトはこちらへ http://movie-riversedge.jp/