シチリアの小さな町に住むルナ(ユリア・イェドリコヴスカ)は学校からの帰り道に、
同級生のジュゼッペ(ガエターノ・フェルナンデス)を追いかけていました。
彼のことをずっと想い続けていたルナは、勇気を振り絞って手紙を渡そうとしていたのです。
そんなルナに笑顔を見せたジュゼッペは、彼女を乗馬へ誘いました。
小高い山にある牧場でジュゼッペの乗馬姿を見たルナは、彼のかっこ良さにうっとりします。
でも、乗馬を終えて着替えに行ったジュゼッペは、そのまま姿を消してしまいます。
そして、彼はそのまま行方不明になってしまいました…
それにしても、あまりの展開に胸が締め付けられました。
上映前に挨拶された監督さんが「事件があまりにもショックで、シチリアを離れようと思うきっかけになった」
みたいなことを言っていたので覚悟はしていたのですけど、やっぱり辛い事件ですね。
でも、その事件をしっかりと描きつつも、これだけ美しい作品にしたのは凄いなあと思いました。
主人公の少女ルナの一途さが眩しかったです。
彼女がどれだけ少年に恋焦がれているのかを訴え、少年が私の全てと言い切る強さが愛しかったです。
それだけに、一人の少女がどんなにもがいても変わらない大人たちの状況が悲しかったです。
映画を観た時はピンと来なかったのですけど、当時のシチリアでは何事に対しても“沈黙”が常識だったのだそうです。
なので、少年が誘拐されても事件は家族から報告されず、事件が大事になるまで何年間も公表されませんでした。
それを聞いて“沈黙”が身に沁み込んでいる大人たちの作り上げた社会の怖さを感じました。
ゴーストとなって少女と心を通じ合わせた少年の想いがとても切なかったです。
そして、その想いを受け止めた少女の笑顔にとてもほっとしました。
観終った時、やっぱりイタリア映画祭に来て良かったなあとしみじみと思った1本です。
監督:アントニオ・ピアッツァ ファビオ・グラッサドニア 出演:ユリア・イェドリコヴスカ ガエターノ・フェルナンデス
2017年 イタリア 原題:Sicilian Ghost Story
(20180428)
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公式サイトはこちらへ http://sicilian-movie.com/追伸
この映画はイタリア映画祭2018で観ました。公開は12月22日以降の予定です。