いちごの唄

ロックバンド・銀杏ＢＯＹＺの詞曲を元に脚本家・岡田惠和が創り上げた短編小説を原作にした青春ドラマです。
予告編を観て、彼らのどんな青春が描かれているのだろうと気になっていました。
心に傷を負った少女が笑顔を取り戻す姿に、観ている方の心も元気を貰えるような作品でした。

高校を卒業して東京に出てきた笹沢コウタ（古舘佑太郎）は、冷凍食品の工場で働いています。
昔ながらの古いアパートで、大好きな冷凍食品を電子レンジで温めて食事をしながら暮らしていました。

ある七夕の日のこと。中学時代の親友・伸二（小林喜日）のことを思い出しながら家路を歩いていると
中学の同級生だった天野千日[ちか]（石橋静河）と偶然に出会います。
中学時代の千日はコウタと伸二にとってはあこがれの女神で、再会は中学校以来でした。

千日がコウタのことをしっかり思い出してくれたことに有頂天になった彼は、
勇気を出して彼女にラーメンを食べないかと誘います。
千日は笑顔で誘いを受けると、二人はあまり人気の無さそうな中華料理店へ入って行きました。

それにしても爽やかな物語ですね。ヒロイン・天野千日の心の再生を優しい視線で追っていきます。
その優しさは主人公の笹沢コウタくんの視線だからかも知れませんね。
彼は千日を想い、その恋心をずっと大切にして来ました。
めちゃくちゃ純粋な人です！

悪い人が出てこないのもほっとしました。
コウタの家族も職場もみんないい人で、観ているだけで心が優しくなってくる気がします。
こんな職場だったら、誰もが気持ちよく仕事を出来るだろうなあとちょっと思いながら観ていました(^^ゞ

そして、何と言っても千日を演じた石橋静河さんが良かったです～
千日が幼い頃から持ち続けたコンプレックスや心の傷を告白するシーンには心が揺さぶられました。
笑顔も素敵で、こんな人だったらコウタがずっと恋してしまうのも分かるなあと思いました。
ずっと心の傷を癒すことの出来なかった千日が彼女を想っているコウタと再会できて本当に良かったです。

タイトル“いちごの唄”の本当の意味が分かった時はうわーっと思いました。
観終った時、小説も読んでみたいなあと思った1本です。



監督：菅原伸太郎　出演：古舘佑太郎　石橋静河　和久井映見　光石研　清原果耶　小林喜日　大西利空　蒔田彩珠　岸井ゆきの　峯田和伸　宮本信子
2019年　日本
（20190715）

→公式サイトはこちらへ　http://ichigonouta.com/