戦艦大和を題材にした三田紀房の同名コミックを山崎貴監督が映画化した作品です。
菅田将暉さんが楽しそうに戦艦を計っている予告編を観て、面白そうだなあと気になっていました。
戦艦大和を巡る物語には様々な関係者たちの策略と欲望の渦が描かれていました。
昭和20年4月。戦艦大和は戦闘機からの攻撃を受け、坊ノ岬沖で撃沈されました。
時は遡って昭和8年。老朽化した戦艦の代わりに戦艦を新造する計画が持ち上がっていました。
でも、山本五十六少将(舘ひろし)は、これからの戦争には空母が必須と考えて
巨大戦艦主義の反対勢力と争っていました。
最終的に巨大戦艦か空母かの決定は予算額が焦点となりますけど、相手の予算は巨大戦艦にしては
何故か少なく、山本少将たちの推薦する空母よりも低い見積もりで提出されてきました。
怪しんだ山本少将は巨大戦艦の本当の造船額を算出するため、
数学の天才と言われた櫂直(菅田将暉)に戦艦の見積もりを出すよう依頼しました…
それにしても、面白かったです。
出だしから戦艦大和の最期の迫力に圧倒され、主人公が本領を発揮する会議のシーンには
数学の奥深さに魅せられ、
菅田将暉さんと田中泯さんの一騎打ちのような対談のシーンには
彼らの演技と存在感に圧倒されました。
すべてを知っている現代の視線で見ると愚かにしか思えない巨大戦艦主義も、
当時の海軍上官たちが船の美しさに魅入られる気持ちは理解できる気がします。
国民の心の拠り所になるというのも… 大きさが強さそのものに感じられるのでしょうね。
そんな武器を拠り所にしなくてはならない時代って本当に怖いなあと思いながら観ていました。
そして何と言っても菅田将暉さんと田中泯さんが凄かったです。
数学の天才を体現している菅田将暉さんの演技と、揺るぎない信念を持つ男を演じた田中泯さん。
この二人がいたからこそ、ここまで面白い作品になったのかもと思います。
どんなに正論で論破しても、人の心を掴むのは狂気のような変形した正義なのねと
しみじみと感じられるのは、田中泯さんの言葉が創り上げる説得力のたまものですね。
そして、戦艦大和が造られたのは、その狂気に関係者が堕ちたからかもと考えた時、
本当の怖さを感じました。
観終わった時、見ごたえのある映画を観たなあと思った1本です。
監督:山崎貴 出演:菅田将暉 柄本佑 浜辺美波 笑福亭鶴瓶 小林克也 小日向文世 國村隼 橋爪功 田中泯 舘ひろし
2019年 日本
(20190813)
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公式サイトはこちらへ https://archimedes-movie.jp/