ティーンスピリット

静かな島で育った女子高生が歌のオーディション番組にチャレンジする青春ドラマです。
馬や牛と一緒に居ても自然で、ステージに立てば抜群な存在感をみせてくれるエル・ファニングの
魅力がいっぱい詰まった爽やかな作品でした♪

イングランドの南にあるワイト島で暮らすヴァイオレット（エル・ファニング）は
未来の見えない現状にうんざりしていました。
敬虔なクリスチャンの母に女手一つで育てられた彼女の家は貧しく、日々は家の酪農の手伝いと
つまらない学校の授業＆ウエイトレスのバイトで終わります。

ただし、ヴァイオレットには心に秘めた夢がありました。歌手として生きていくという夢です。
かなわない夢とは思いつつも、その溢れる想いを止められず、時々小さなパブで歌っています。
酔っ払いだらけで誰も歌を聞いてくれないパブの中には、彼女の歌を熱心に聴いてくれる
初老の男ヴラド（ズラッコ・ブリッチ）がいました。

そんな中、世界的に人気のある若手スターの発掘番組「ティーンスピリット」のオーディションが
初めてワイト島で開催されることになりました。
ヴァイオレットは最初から受けることを諦めていましたけど、生活費のために自分の可愛がっている
馬を売られてしまった時、オーディションに参加する決心をします。
そして、保護者が必要なオーディションを受けるため、ヴラドにサポートを頼みました。

それにしても、さすがはエル・ファニングですね～
お化粧をしてステージに上がっている時と、高校生活をしている日常の姿とのギャップがすごいです。

家の牧場を手伝いやバイトで見せる疲れた表情や、現状への怒りにも似た心情をみせる姿は
本当に小さな田舎の島の女子高生です。
こんなに牧場の干し草が似合うハリウッドスターはなかなかいないかも(^^ゞ
そして、そんな彼女だからこそ、歌手になりたいという切実な想いがひしひしと伝わってきました。

あと、繊細な心を伝えてくれる彼女の歌声がきれいでうっとりしました。
複雑な心境を伝える歌はどちらかというと地味で、オーディションの予選でも審査員に
もう少し一般受けする歌をと言われてしまうくらいですけど、
今までくすぶっていた心の葛藤をすべて開放して歌い上げる決勝のライブシーンは圧巻です。
派手さではなくテクニックでもなく、真の心を歌で伝えることが一番なのですね。

エンドロール前に映し出されたシーンの彼女は、また別の顔を見せてくれてカッコ良かったです。
観終わった時、真っ直ぐなパワーに疲れた気持ちを忘れられた気分になった1本です。



監督：マックス・ミンゲラ　出演：エル・ファニング　アグニェシュカ・グロホフスカ　ズラッコ・ブリッチ　クララ・ルガアード　アーチー・マデクウィ　ルアイリ・オコナー　レベッカ・ホール
2018年　イギリス・アメリカ　原題：TEEN SPIRIT
（20200111）

→　公式サイトはこちらへ　https://teenspirit.jp/