アルプススタンドのはしの方

全国高等学校演劇大会で最優秀賞を受賞した戯曲を原作に創り上げた青春ドラマです。
舞台は観たことが無かったですけど、どんな作品なのか気になっていました。
予想以上にテンポが良くて面白い、爽やかな青春映画でした～

高校3年生の安田あすは（小野莉奈）は親友の田宮ひかる（西本まりん）と共に
甲子園のアルプススタンドのはしの方へ上がってきました。
通っている高校の野球部が夏の全国大会に出場になったため、
3年生は強制的に1回戦の応援に駆り出されたのです。
演劇部で野球のルールも分らない二人には、人の少ないこのあたりが居心地良く感じられました。

相手チームは強豪校で、外野フライからのタッチアップで効率よく点を取ってきました。
でも、ルールの分らない二人には、なぜフライが捕られてアウトになったのに点が入るのかが解りません。
二人は話し合い、この遠い位置では見えなかったけど、もしかしたら落としていたのでは？
という結論に落ち着きました。

そんな中、彼女たちの近くに藤野（平井亜門）が座りました。
同じホテルから出発したのに随分と到着が遅れた藤野に気付いた安田あすはは、
彼が遅くなった理由を尋ねます。
藤野は色々と言い訳を言っていましたけど、最終的には応援しに来ることを悩んだと告げます。

その言葉に納得した彼女が自分もそうだと言ってうんざりした顔をしている中、
大人しくて人見知りの宮下（中村守里）が、3人と少し離れた所で立ちながら試合を眺め始めます。
そして、英語教師で茶道部の顧問なのに何故か熱血応援の厚木先生（目次立樹）が4人に向かって
おまえら声を出せ！と大きな声で指示してきました…

それにしても、面白かったです～
野球の試合をしている野球部員たちは、もちろん目の前の野球に全力をかけていますけど
応援している高校生たちにもそれぞれの想いがありました。

演劇部では昨年の大会の当日に部員のインフルエンザで出場を棄権したという過去があり、
あすはとひかるの間には何となくわだかまりが残っています。
元野球部ピッチャーだった藤野には、絶対的エースの園田には敵わないと感じて
野球を諦めたという過去があります。
また、宮下には人と上手く話せず自分の取り柄は勉強だけだと頑張っていたのに、
直近の試験で1位の座を明け渡していました。

そんな彼らが自分の想いを昇華して前向きな気持ちを取り戻し、
最後は試合の流れに一喜一憂して大声を上げるようになっていきます。
ラストまでどんどん盛り上がっていく展開が本当に快かったです(^^)

野球シーンの映らない野球映画なのに、何故か最後は私も一緒に応援したくなりました(^^ゞ
観終わった時、ひさびさに爽やかな気分になったなあとニッコリした1本です。



監督：城定秀夫　出演：小野莉奈　平井亜門　西本まりん　中村守里　黒木ひかり　平井珠生　山川琉華　目次立樹
2020年　日本
（20200812）

→公式サイトはこちらへ　https://alpsnohashi.com/