ある事件により逃避行を始めた男女の恋の行く末を描いたドラマです。
予告編を観て、何だか気になるなと思っていたのでチャレンジしてみました。
想像以上に胸に刺さる青春ドラマでした。
翔太(村上虹郎)は東京の劇団で俳優を目指すものの目が出ず、
詐欺のバイトで食い繋いでいる若者です。
ある日、彼は和歌山の実家に近い高齢者施設で行われる演劇のワークショップに
指導者の一人として参加することになりました。
でも、施設で暮らす高齢者たちの中には施設を脱走を繰り返すなど日常生活が難しい人も多く、
そんな高齢者に慣れていない若者たちは次第にストレスを感じ始めます。
そんな中、職員のタカラ(芋生悠)が自分たちと同年代と知り驚くと同時に彼女の立場に同情します。
実は若い彼女がここで働き始めたのには、人には話せない過去が関係していました。
そして、その辛い過去が彼女に再び近付いてきました…
それにしても、痛さが半端ない映画でした。
実は前日に『糸』を観たのですけど、あれは“夢”のある映画だったのだなあと改めて感じてくるほどです。
現実の痛さを見せつけられた気がしました。
また、主人公二人の行動と心のゆれがリアルな分、
時に人の心は不思議で理解不能になるというということを再認識しました。
どうして翔太はタカラの手を取って逃げたのか、
そして、翔太はどこまでタカラを連れて行けるつもりなのだろうと考え続けました。
自分が生きるためならその場しのぎで嘘をつき盗みを重ねるのもOKな翔太の存在感が不思議でした。
彼が平気で罪を犯すのは罪だと思っていないからなのでしょうか。
彼の心のボーダーラインが見えないなあと思いながら観ていました。
それでも、ある真実を知った時の翔太の姿には心を動かされました。
観終わった時、他人を理解し自分の姿を再認識した彼はこれからどんな人生を送るのだろうかと
しばらく考えてしまった1本です。
監督:外山文治 出演:村上虹郎 芋生悠 岡部たかし 塚原大助 康すおん 花王おさむ 江口のりこ 田川可奈美 石橋けい 山本浩司
2020年 日本
(20200902)
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