佐藤江梨子さん主演のカンヌ映画祭批評家週間招待作品です。
それくらいしか知らずに観たのですけど、さすがはカンヌ。一筋縄では行かないストーリーです。
笑える場面も多かったですけど、予想以上にシュールでブラックでびっくりな作品でした。

ある日、静かな田舎道で猫が大型トラックの前を横切ろうとした。
猫を助けようとした夫婦が車に引かれ、二人とも死亡してしまう。
残された家族のうち長女は東京におり、この田舎には長男夫妻と次女が暮らしていた。
葬式当日、疲れた様子の次女・清深を心配した兄嫁の待子は励ますように話しかけ、
もうすぐ長女・澄伽も帰ってくるねと明るく伝える。
すると突然、清深は顔を青くし喘息の発作を起こしてしまった。
あわてて駆け寄る長男・宍道に強く払われて畳の上を転がり壁に激突する待子。
そんな待子が見上げた視線の先には、着飾って澄ましている長女・澄伽が立っていた…

何か変なストーリーだなあと思っていたら、出てくる人たちもみんなちょっと変でした(^_^.)
女優を目指している長女・澄伽は、綺麗でスタイル抜群だけど
才能は無くて性格がもの凄く悪い自己中人間。家族をめちゃくちゃ振り回しています。
過去に起こした事件のために澄伽に苛められ続ける次女・清深は、漫画を愛する女の子。
心の鬱憤を晴らすように、姉に隠れて強烈なホラー漫画を書いています。
兄の宍道は嫁に対しては“ちゃぶ台返し”とかもしてしまうのに、
澄伽に対してはどうも強気になれずに悩んでしまう、いまいちな長男です。
そして、宍道に怪我をさせられても笑顔を絶やさない、ちょっと能天気な待子。
こんな4人が一つ屋根の下で暮らすのだから、何かが起きない訳はありません。
もう、訳が分からないのと怖いのとが混ざって、最初から最期までドキドキでした。

原作は本谷有希子さんの舞台劇だそうです。
なるほどこれを舞台で見たら、また凄いだろうなあと感じました。

それにしても佐藤江梨子さんは主人公澄伽にぴったりでした!
乱心したように喧嘩している時も、顔に笑顔を張り付かせて妹に迫っていく時も
怖いくらい迫力と存在感がありました。
あと、カンヌで笑いを取ったという待子役の永作博美さんもさすがの演技でした。
兄妹3人が緊張でキリキリしている中で、一人笑いを取るようなシーンが多かったです。
(ただ、この人も一筋縄では行かない人でした(^^ゞ)

姉妹がどうなるのか、映画の続きがどうなるか気になるなあと思った1本です。

監督:吉田大八 出演:佐藤江梨子 佐津川愛美 永作博美 永瀬正敏
2007年製作 日本
(070531)