こういうのは苦手…なのに挑戦してみました(^^ゞ

ある雪の夜のこと。
下総にある武士の深見家では、主の新左衛門が借金取りに来た男と話をしていた。
無い袖は振れぬと言い放つ新左衛門に対して、少しでも返して欲しいと言い寄った男は
怒った新左衛門に切り殺されてしまう。
恨みの言葉を残して息絶えた男の家には、帰らぬ父を待ち続ける幼い姉妹が残された。
一方、新左衛門も段々と精神を病み、ある日妻を切って自分も自害してしまう。
新左衛門には乳飲み子の男の子がおり、使用人の一人が引き取っていった。
それから25年後の江戸。
姉妹のうち小唄の師匠になった姉・豊志賀は、町で煙草売りの若者と出会う。
二人はたちまち激しい恋に落ちるが、彼は新左衛門の忘れ形見の新吉だった…

尾上菊之助さんと黒木瞳さん主演の作品です。
宿命に翻弄される愛… 自分の持つ宿命を知らぬまま育った二人の運命の出会いは
避けることの出来ない悲劇を生み出します。

『リング』の中田秀夫監督なのでホラーの苦手な私に耐えられるかとドキドキしていましたが、
主人公二人の第一印象は、佇まいが綺麗だなあ…でした。
これこそが日本映画で表現できる美しさよね~などと思いながら
美しい二人のラブストーリーにうっとりしていると段々と雲行きが…
やっぱり“怪談”になってしまいました(^_^.)

豊志賀の死後、見つめる視線と気配に怯えつつも新しい出会いを受け入れてしまう新吉。
死んでも尚、新吉のことを見つめ続ける豊志賀。
最初は彼女の愛の深さと執念が怖いと思っていたのですけど
最期には新吉の人を引き付ける美しさと優しさ、そして弱さこそが
女性たちを不幸にする魔力(怖さ)かもしれないと思えてきました。
視覚的に激しく驚かすというよりも、静かに心がぞっとしてくるような怖さを感じました(^^ゞ

でもやっぱり怖さを越えて、この二人は絵になる美しさだなあと思った1本です。

監督:中田秀夫 出演:尾上菊之助 黒木瞳 井上真央 麻生久美子
2007年製作 日本