6歳の男の子の小さな“トリック”は、面白くて可愛くてとっても楽しい物語でした(^^)

いつも一人で遊んでいるステフェクはパパを知らずに育った男の子。
お母さん、エルカお姉ちゃんと3人で暮らしている。
ある日、駅で“この人はパパ?”と感じた男の人を見かけた。
カバンを片手にスーツ姿で電車を待つビジネスマンだ。
12歳年上のエルカお姉ちゃんはパパのことを知っているはずだが、
お姉ちゃんに言っても“知らない人”という答えが返ってくるばかり。
実はパパはステフェクが幼い頃に、別の女性のところへ行ってしまったのだ。
でも、直感でパパだと確信したステフェクは、ちょっとしたトリックを仕掛けてその男の人と話す機会を作る。
そして、男の人がハトに興味を示しながら、昔はここに住んでいたと言う様子を観て
やっぱりこの人がパパだと確信する…

街を縦横無尽に駆け巡りながら、少しずつトリックを仕掛けていく少年の動きにわくわくしました~

少年はいつも一人で遊んでいます。駅や線路、そしてハトのいる小屋で。
友達は木の棒や小さな兵隊の人形たちです。
棒をスーパーマンに見立てて一人で遊んでいる姿や
自分が離れている間の見張りに兵隊の人形を置くシーンは本当に可愛かったです。

そしてトリックの数々。いつも自分の面倒を見てくれるお姉ちゃんも、いろいろ魔法をかけるけど
僕だって考えればできるん!だもんとばかりに、少しずつ着実に仕掛けていきます。
何を考えているのだかわからないような、ちょっとムッとしたような表情はいつも真剣です。
パパをママの下へ送り出す指名があるんだもの!
そんな少年のトリックの数々に、観ている方もすっかり魅入られてしまいました(^^)

ステフェク少年のキュートさとエルカお姉ちゃんとの仲の良さにとっても楽しくなった1本です。

追伸
この作品の主演を演じたダミアン・ウル君が、コンペ部門の主演男優賞を受賞しました!
監督さんはティーチインの時に「たまたま撮影をしようとした街に彼がいたんだ」と言っていて
運良く見つけられた男の子だったそうです。もちろん演技は初めてです。
しかも今回の東京映画祭へはお母さんが勉強のために来させ無かったようです。
ということは、カンヌの柳樂優弥君のような感じかも知れませんね(^^ゞ

監督:アンジェイ・ヤキモフスキ 出演:ダミアン・ウル エヴァリナ・ヴァレンジャク
2007年製作 ポーランド 原題:SZTUCZKI(英題:Tricks)
(071027)