デヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作です。
ヴィゴ・モーテンセンが出演しているというくらいしか知らなかったので、
ハードな暴力描写にビックリでした(^_^.)

ロンドンのドラッグストアにひとりの少女が助けを求めてきた。
彼女はそのまま血を流して気絶してしまい、病院に担ぎ込まれる。
実は彼女は臨月になっており、母子共に状態が悪く死にかけていたのだ。
緊急手術によって赤ちゃんの命は助かったが、少女は亡くなってしまう。
その14歳の少女の腕にはドラッグの注射後が多数残っており、
闇の組織に働かされていたらしいことが想像できた。
手術に立ち会った助産婦のアンナ(ナオミ・ワッツ)は赤ちゃんと少女を気の毒に思い、
せめて赤ちゃんは肉親のもとへ返したいと、彼女の日記を読む決心をする。
そこには彼女が遠いロシアの大地から希望を持って旅立ち、そして現在の境遇へ至った様子が
絶望と共に綴られていた…

ロンドンの裏社会に潜むロシアン・マフィアを舞台にしたサスペンスです。
湿気の多そうな空気の重さに加えて、マフィアの深い闇に入っていくような物語は
作品全体が妙にリアルで怖くて重苦しい雰囲気を漂わせていました。

それにしても、ヴィゴ・モーテンセンはもの凄い存在感でした!

車の運転手としてマフィアに近付いた男ニコライ。
彼は密かに自分をコントロールし、着実に仕事をこなし、謎めいたところを持ちつつも、
徐々にボスたちの信頼を得て、マフィアの組織へと入り込んで行きます。
表情を押さえたヴィゴの演技は
とてもよく切れる刃物のような鋭さを密かに隠しているような主人公にぴったりでした。
また、彼の戦うシーンはリアルで痛そうで、観ていられないくらいハードでした。

また、マフィアのボスのダメ息子を演じたヴァンサン・カッセルもとても上手くて
この人はフランス人だよなあ…と何度か思い返しながら観ていました(^^ゞ

暴力にまみれたマフィアの闇をどっぷり体験した気になった1本です。



監督:デヴィッド・クローネンバーグ 出演:ヴィゴ・モーテンセン ナオミ・ワッツ ヴァンサン・カッセル
2007年 イギリス/カナダ 原題:EASTERN PROMISES
(080522)

追伸
この映画は試写会で観ました。公開は6月14日以降の予定です。