1951年製作『地球の静止する日』をリメイクしたSFです。
予想していたような圧倒的な迫力とかエンターテイメントな楽しさを感じる作品ではなかったのですけど、
“古典的なSF”という雰囲気はちょっと面白かったです。

太陽系に近付いていた彗星は、重力に関係なく地球へと真っ直ぐ向かっていた。
衝突の危機に見舞われた地球だったが、そのスピードと威力の前になすすべが無かった。
衝突すると身構えていた瞬間、接近していた彗星のスピードが落ちていることに気が付く。
そしてその彗星は光る球体のまま、セントラルパークに静かに降り立った。
科学者や軍関係者たちが見守る中、球体から巨大なロボットと人型の生き物がゆっくりと現れた。
見守っていた中の一人である宇宙生物学者ヘレン(ジェニファー・コネリー)がその生物に近付く中、
一発の銃弾が生物を撃ってしまう。
すると今まで静止していたロボットの目が光って超音波を出し、あらゆる武器が使えなくなってしまった。
超音波が止んでふと我に返った科学者たちは、倒れた生物を担架で施設へと運び手当てを開始する。
恐る恐る緊急手術を始めた医師がその生物を覆っていたものを剥がしていくと
中から現れたれた生物は、人間の男にそっくりだった…

無表情なキアヌ・リーヴスは本当に“宇宙人”でした(^^ゞ

宇宙から来た使者クラトゥ(キアヌ・リーヴス)。彼の正体を調べるべく、アメリカ政府は彼を拘束します。
クラトゥは宇宙からのメッセージを各国の代表者が集まる席で話したいと主張するのですけど
政治家たちはクラトゥの存在をアメリカだけの秘密にしたいと考えるのです。
また、二つの文明が出会った時は優れた方が劣る方を滅ぼすものだという理論が頭に浮かび始めます。
地球の武器を一瞬で無効にしてしまうような文明の前には、使者を葬って戦うしかないと考えるのです。

このような戦うという考え方は、本当にアメリカでは一般的なのでしょうね。
科学者のヘレンはクラトゥを密かに助けようとするのですけど
彼女や一部の科学者以外の人は、本当に幼い子供までもが戦うと主張するのです。
でも、物語は自分を変えようとせずに他者を滅ぼそうとすることがいかに愚かなことかを伝え始めます。
そしてクラトゥの下した決断により、圧倒的なパワーが地球を覆い始めます。

正副大統領が安全な場所に隠れていて現状をきちんと見ないまま、
国防長官であるキャシー・ベイツに攻撃せよという指示を与え続けるという設定が面白かったです。
始めは攻撃的に応じていた国防長官も、相手のパワーと攻撃することの無力さを感じ始めます。
また、戦うことを無条件に信じていたヘレンの息子も、クラトゥが悪い人ではないと理解します。
相手を知ること、触れ合うことが人の心を変えていくのです。

それにしても、人間が地球の生物にとって悪というのは怖いですね~
先日に観た『ミーアキャット』でも地球温暖化の影響なのか気象条件が悪化していたようですし、
最近の映画では、他の生物だけでなく地球そのものにも悪影響を及ぼしていることを
ひしひしと感じさせられることが多いです。
人は本当に変わることが出来るのか。いつから変われるのか。どう変わればいいのか。
この作品に答えがある訳ではないですけど、考えなくては…という想いは伝わってきました。

クラトゥを護衛するロボットが出て来た瞬間、形は違うのに“鉄人28号”という言葉が頭に浮かびました。
後でよく考えたら“アイアン・ジャイアント”だったかも~と思った1本です(^^ゞ



監督:スコット・デリクソン 出演:キアヌ・リーヴス ジェニファー・コネリー ジェイデン・スミス キャシー・ベイツ
2008年 アメリカ 原題:THE DAY THE EARTH STOOD STILL
(20081221)