先日のアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞した作品です。DVDで観ました。
12分という短い時間の中に、一人のおじいさんの人生が優しいタッチの絵で描かれていました。
海水面が上昇して水に覆われたある町に、一人のおじいさんが暮らしていた。
小さな家で一人暮らしをしているおじいさんの楽しみは、パイプと一杯のワイン。
夕食では釣った魚を前にワインをグラスに注いで、のんびりと寛いだ時間を過ごしていた。
ある朝、おじいさんが目を覚ますと家が水浸しになっていた。海水面がまた上昇したのだ。
おじいさんは今住んでいる家の上に、新しい家を作り始める。
1つずつ石を積み重ねていく作業が、雨の日も日差しの強い日も続いた。
ようやく完成し、引越の荷物を積み込んでいる時、大切なパイプが水の中へ落ちてしまう。
お気に入りのパイプがないと困ったな…と思ったおじいさんは
潜水服を着てパイプを拾いに行く決心をした…
手書きの優しい絵に癒されながら観ていました~
DVDにはナレーションありのバージョンと無しのバージョンの2種類が収録されています。
私は最初にナレーション無しを観て、次にナレーションありを観ました。
ナレーションがあった方が分かり易いかも知れませんけど、
無くてもおじいさんの想いが充分に伝わってきて、ちょっと切なくなりました。
おじいさんにとって水へ潜る行為は、過去への旅です。
海水面が上昇するたびに、家をt積み木のように上へ積み上げて伸ばしていった家の下には
過去の家が重なり合っています。
その一つ一つにはおじいさんの大切な想い出が詰まっています。
それは心が温かくなるような、優しい想い出ばかりでした(^^)
どんなに人が去って行っても、その家に残り続けたおじいさん。
その気持ちは分かるなあと思うと同時に、爽やかなグラスの音が耳に残った1本です。
監督:加藤久仁生 ナレーション:長澤まさみ
2008年 日本
(20090407)