天正4年(1576年)。天下統一を目論む織田信長(椎名桔平)は、
その象徴となるような城の建設を心に決めた。
琵琶湖畔にある安土山を、山ごと城にしてしまおうと考えたのだ。
その計画を聞かされた宮大工・岡部又右衛門(西田敏行)はその壮大さに愕然とするも
一世一代の仕事だと必死の決意で取り組み始めた。
だが、天守閣の下層を吹き抜けにし、
その最上階に自分が住むという信長の計画を聞いた又右衛門は難色を示す。
すると、その表情を見た信長は急に怒り出し、又右衛門を含む3人の宮大工に設計を競わせて
自分が気に入った宮大工に城を造らせる方針へと変更してしまった。
相手は金閣寺を建設した京の名門と大仏殿を建設した奈良の名門。
どうみても田舎者の又右衛門には勝ち目がないと思われる競い合いだった…
巨大な城の建設はピラミッド造りを思わせるような壮大なプロジェクトでした~
織田信長の命を受けて総棟梁の役目を負った岡部又右衛門。
彼は様々な困難を乗り越え、通常は5年掛かる築城を3年で成し遂げます。
特に大変だったのは大黒柱となる檜の入手です。
五層七階の巨大な天守閣を支えるため、並大抵の木材では役に立ちません。
又右衛門が唯一と考えたのは甲斐檜。
命を賭けて敵国甲斐に乗り込み、必死の想いで檜を分けて欲しいと訴えます。
通常なら許されるわけがありません。
でも、又右衛門の願いと人柄、そして彼の語る夢は
実際に檜を育てている大庄屋甚兵衛(緒形直人)の心を動かしていきます。
この二人の命を賭けた信念のやり取りは、演じた二人の熱演と共に心に残りました。
それにしても、職人たちは過酷な作業を行っていました~
男も女も支えながら必死に働いていました。
そんな中、人力で行う作業を支えるのは心の繋がりです。
ある時は息を合わせて重量のある資材を運び、ある時は技術の粋を集めて造り上げていきます。
大事故が起きた時、又右衛門は信長の反対を押して職人たちに1日の休みを与えようとします。
その時に語る、築城とは職人たちの心を組み立てることだという言葉には納得させられました。
観終わった後にチラシを読んだら、このお城が3年後には消失してしまうと書いてありました。
原作には炎上まで描かれているそうですね。
これだけの技術と資材と人の力を集めて組み立てたと思うと
戦国の世というものは本当に無常の世界だったのだなあとしみじみ感じた1本です。
監督:田中光敏 出演:西田敏行 大竹しのぶ 椎名桔平 福田沙紀 寺島進 夏八木勲 緒形直人
2009年 日本
(20090827)
追伸
この映画は試写会で観ました。公開は9月12日以降の予定です。