クリスマスも近付いたある冬の朝。
妻レイ(メリッサ・レオ)と15歳と5歳の息子を残したまま夫がいなくなっていた。
今日は新しい家がやってくる日で、残金4千ドルあまりを用意してあったのだが、
ギャンブル狂の夫は持ち逃げして蒸発してしまったのだ。
父を慕っていた長男は取り残された怒りで不機嫌になり、
家が来るのを楽しみにしていた幼い弟はがっかりしてしまった。
そんな息子たちをなんとか学校に送り出すと、レイは夫の乗って行った車を探しに出かけた。
町のギャンブル場に行ったレイは駐車場に夫の車を見つけて喜んだが、
目を話したすきに、その車を見知らぬ女が運転して去ってしまう。
慌てて追いかけたレイは、その女がモホーク族のライラ(ミスティ・アパーム)だと知った。
彼女が言うには、車がバスの停留場に置き去りにしてあったので貰ってきたらしい。
そしてライラはレイに車を良い値段で買うから売ってくれと持ちかけ始めた…
雪に覆われた町で幸せを掴もうと必死になっている主人公たちの生き様と
母性という共感が創り上げた強い絆が印象に残りました。
生活費を夫に奪われ、二人の息子を抱えて生活に困窮しているレイ。
夫を事故で亡くし、産んだ途端に子供を義母にとられてしまったライラ。
そんな二人はレイの夫の残した車をきっかけに出会います。
互いの第一印象は最悪です。
でもレイは生活のために、ライラが行っていた“仕事”(不法入国の手助け)の片棒を担ぎ始めます。
ライラを乗せて凍った川の上を車で渡り、指示に従ってトランクを空け、中に入ったものを運ぶだけ。
犯罪と言えども誰も傷つけずに大きく稼げるという“仕事”に出会ったレイは、
新しい家の購入資金が出来るまでと自分を納得させながら車を走らせ続けました。
やがてお互いの事情が少しずつ見え始め、何故大金が必要なのかも分かってきました。
そんな中、どうしてもクリスマスまでに新しい家を買いたいレイは無理をして“仕事”を貰おうとします。
それは彼女たちの運命を大きく変える出来事へと繋がっていきました。
それにしても主演のメリッサ・レオは存在感がありました。
あまり笑顔を見せないレイの怒ったような表情と、
顔のしわの一つ一つがレイのこれまでの苦労を物語っているようです。
そして、息子たちへの強い愛と良心に従おうとする心の強さを体現していました。
観終わった時、相手を思いやるレイとライラが出した結論に二人の強い絆を感じた1本です。
監督:コートニー・ハント 出演:メリッサ・レオ ミスティ・アパーム チャーリー・マクダーモット マーク・ブーン・ジュニア マイケル・オキーフ
2008年 アメリカ 原題:FROZEN RIVER
(20091123)
追伸
この映画は東京フィルメックスで観ました。公開は2010年お正月第二弾の予定です。