東京に住む早代(岸恵子)の元に孫の康子(マイコ)がやって来た。
母と喧嘩をしたため、正月を独り暮らしの祖母と一緒に過ごそうと家を出てきたのだ。
そんな康子は早代の留守中に見知らぬ老紳士から荷物を受け取っていた。
何でも受け取るものでは無いと小言を言いながらも、自分の旧姓が書かれている封筒を開けると
そこには古びた原稿用紙の束が入っていた。
早速、読み始めた早代は、それが自分の子供時代のことを書いた物語だと気が付いた…
結末は分かっていても、やっぱり哀しかったです(T_T)
現代の主人公が過去を回想する形で、現代と過去が交差する物語です。
過去の時代は戦前の昭和11年から12年。舞台は雪に覆われる寒村。
両親のいない少年と祖父との貧乏な二人暮しで、少年を慕っているのは村の有力者の娘です。
これで“フランダースの犬”と言われたら、もう、主人公たちが登場しただけで切なくなりそうでした。
過去の物語がメインで現在が時々織り込まれていきます。
これは好き嫌いがあるかも知れません。
盛り上がっている時に現在が出て来ると、ちょっと気が抜ける気がします。
ただ、私にとっては物語が切な過ぎるので、逆にほっとできました(^^ゞ
一番救われたのは嫌な人がほとんど出てこなかったことです。
「フランダースの犬」はとにかく主人公が冷たくされていたという印象があるのですけど
この「スノープリンス」は決して周りが冷たい訳ではありません。
みんな少年や年老いたお祖父さんを気にかけてくれます。
少年と少女の仲を裂こうとした少女の父親さえ、少年を憎く思っている訳ではありません。
それでも、少年は美しい絵の完成と引き換えのように、寒さと貧しさの中で瞳を閉じてしまいました。
それにしても役者が揃っていました~
お祖父さん役の中村嘉葎雄さんや少女のお父さん役の香川照之さん、
そして、娘の恋を影ながら応援するお母さん役の檀れいさんも印象的でした。
大人たちが主演の子役二人を励ますように良い演技を引き出しているように感じました。
特に中村嘉葎雄さんのお祖父さんは本当に良い人で泣けてきました~
観終わった時、いろいろ疑問や突込みどころはありましたけど、
でも、絵本のような美しい物語に懐かしい気持ちになった1本です。
監督:松岡錠司 出演:森本慎太郎 桑島真里乃 中村嘉葎雄 岸恵子 香川照之 檀れい 浅野忠信
2009年 日本
(20091201)
追伸
この映画は試写会で観ました。公開は12月12日以降の予定です。