牛と共に農業を営む老夫婦の生活を映し出した韓国のドキュメンタリーです。
信頼で結ばれた年老いた牛と共に、身体が痛んでも働き続ける頑固なおじいさんと
そんなおじいさんに文句を言いつつも心配して一緒に働くおばあさんの姿に
長年連れ添った夫婦の強さと暖かさを感じる作品でした。
チェおじいさんは毎日、牛に引かれながら仕事に出かけます。
おじいさんもかなりの高齢ですけど、牛も30年生きた高齢です。
のんびりとした足取りで荷車を引きながら進んでいきます。
おじいさんは作男から身を起こした人で、食事以外の時間はほとんど休まずに身体を動かしています。
足を悪くしても、持病の頭痛が酷くなっても、働くのを止めようとはしませんでした。
寡黙に身体を動かすおじいさんとは対照的に、明るくておしゃべりなおばあさんは
いつもぶつぶつと文句を言っています(笑)
16歳の時に100キロの道程を籠に揺られてお嫁に来たおばあさん。
おじいさんは大切な牛に草を食べさせるため、農薬を使わない農法を続けています。
よその家のように農薬を使って除草してくれたら、機械で稲刈りをしてくれたら、
こんな苦労をしなくてもいいのに私は本当に不幸だわと、おばあさんの言葉が途切れることはありません。
対しておじいさんはそっぽを向いて無言のまま。
二人のコンビは、まったく性格は違うのに何かぴったりのような気がして可笑しかったです。
おばあさんが私より大切なのねと焼きもちを焼く牛はおじいさんの相棒です。
どんなによぼよぼになっても、おじいさんのために前へ進もうとします。
そんな牛がとうとう倒れた時、いつも愚痴を言っていたおばあさんもしんみりとしてしまいます。
子供たちが幼い頃に家へやって来て以来ずっと一緒に働いてきた牛を看取る二人の姿は
とても心に残りました。
会社の仕事納めの日に観てきたのですけど、
忙しい年末を忘れて、何となく静かで心地良い気分になった1本です。
監督:イ・チュンニョル 出演:チェ・ウォンギュン イ・サムスン
2008年 韓国 原題:OLD PARTNER
(20091229)