1994年、国民の投票によりネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)は
南アフリカ共和国初の黒人大統領となった。
翌年はラグビーのワールドカップが自国で開かれることが決まっている。
だが、南アフリカは開催国なので試合には参加できても、他国と比べるとレベルは低かった。
色濃く残る人種差別と遺恨の中で、双方の気持ちを1つにして国を盛り上げたかったマンデラは
このワールドカップでの優勝を願うようになる。
その心に動かされたチームのキャプテン、フランソワ・ピナール(マット・デイモン)は
期待を一身に背負いながら、チームを優勝へと導き始めた…
ラグビーのワールドカップを通して、南アフリカの全国民が1つになった1日を描いたドラマです。
特に後半の試合のシーンは、まるで本物のワールドカップを観ているようでした~
その頃の南アフリカではラグビーは白人のためのスポーツだったため、
そのチーム名やユニフォームのカラーはアパルトヘイトの象徴のように思われていました。
それはこれまで苦難を強いられてきた黒人たちにとっては、この世から消したいものの1つです。
当然、ラグビーのチーム名やユニフォームのカラーを変えようという意見が出ます。
でも、マンデラ大統領は白人たちの大切なものを無理やり変えてはいけないと説きます。
赦しの心があってこそ、国の未来が見えてくるのだと訴えるのです。
そして、チームはそのまま残されることになりました。
ただし、そのチームには優勝という重い目標が課せられます。
それは大統領から明言された訳ではありません。
でも、大統領と直接話す機会を得たキャプテンのフランソワは
大統領が願っていることは国を1つにすることであり、そのためには優勝が必須だということを感じます。
どんなに忌み嫌っていても応援するものが同じならば、やがて心は一つになっていくのです。
タイトルの“インビクタス”とは長い投獄生活の中でマンデラ大統領の心を支えた詩の題名だそうです。
心が本当に挫けそうになった時に希望の光を見出すことが出来たその言葉は
負けて当然と言われていたチームを導くフランソワの心を支えていきました。
そして、その強い心がチーム全体に広がった時、奇跡のような勝利が生まれていきました。
それにしても、試合のシーンは圧巻でした~
この映画のもうひとつの主役はラグビーそのものかも知れませんね。
試合の時間はかなり多いので、ラグビーを見慣れない人にはどうだろうなあとも思いますけど、
ラグビーというスポーツを通して人種の垣根を越えていく人々の姿は
観ているものの胸を熱くさせていきました。
今年、サッカーのワールドカップが南アフリカで開かれるのですよね。
こんなドラマがまた待っているのかなあと、ちょっと待ち遠しくなってしまった1本です。
監督:クリント・イーストウッド 出演:モーガン・フリーマン マット・デイモン スコット・リーヴス グラント・L・ロバーツ トニー・キゴロギ
2009年 アメリカ 原題:INVICTUS
(20100118)
追伸
この映画は試写会で観ました。公開は2月5日以降の予定です。