16歳のジェニー(キャリー・マリガン)は学校でも優秀で先生にも一目置かれている女の子。
父の勧めもあってオックスフォード大学への入学を目指し、毎日勉強を重ねていた。
学校でオーケストラの練習をした帰り道に通り雨に降られてしまったジェニーは濡れたまま道に佇んでいた。
そんな彼女の前に一台の車が止まり、中から一人の男が声をかけてきた。
君は車に乗らなくてもいいから、チェロだけは車に乗せなさいという言葉に笑顔を見せた彼女は
チェロと一緒に自分も家まで送ってもらう。
そして、そんなことも忘れていた頃、家へその男性から豪華な花束が届いた…
“人生にショートカットは無い”という言葉に胸を詰まらされました。
主人公のジェニーはキュートで成績優秀な女子高生です。
家でも学校でも期待されながら、オックスフォード大学へ入るために日々頑張っています。
決して裕福ではないジェニーの家では贅沢は出来ません。
父(アルフレッド・モリナ)は倹約家で彼女の勉強にも口を出します。
彼女が好きなフランスの歌や文化は目の敵にするし、クラシック音楽にも興味はありません。
そもそも文学なんて将来の役に立たないと否定的です。
そんな父を前にジェニーは諦めながら反抗心を募らせています。
父がそんな人間になったのは時代もあると思います。
1961年で16歳ということは、ジェニーは終戦の年に生まれています。戦争を知らない世代なのです。
戦争中に苦労を重ね、今でも面白くない仕事をしながら家族を養っている父がお金に煩く、
一方の娘は華やかな文化に惹かれていくのは仕方ないのかも知れません。
それでも娘を大学へ行かせようとする矛盾が起きるのは、
父自身が娘に自分のような苦労をさせたくないと思っているからです。
互いに違う方向を向きながら生きていて言い合いになることがあっても、
二人の姿を見ていると、そのあたりはお互いに何となく分かっているのではないかと感じました。
そんなジェニーの前に突然現れた年上の男デイヴィッド(ピーター・サースガード)は、
彼女にいろいろな憧れの体験をさせてくれます。
父の行かない音楽会にもパリにも簡単に連れて行ってくれます。
しかも、彼は口の上手さと笑顔で堅物の父にも上手く取り入ってしまうのです。
彼女が惹かれない訳はありません。
でも、彼は彼女には知ることの無かった別の姿を持っていました(T_T)
デイヴィッドとの結婚を夢見て学校を辞め、大学進学を断念した矢先に知った事実は彼女を打ちのめします。
それでも彼女が自分の人生を取り戻そうと行動を起こせたのは、意思の強さに加えて
彼女がまだ17歳だったことと、彼女を見捨てなかった先生がいてくれたからです。
ジェニーが自分の人生を本当に取り戻した時、喜んでくれた両親の様子を
ちょっと離れたところで伺っている彼女は、これまでの姿とは違って17歳の少女に戻っていました(^^)
観終った時、前日に観た『息もできない』も女子高生の話だったなあと思い出して、
実はこの年頃には人生を決める何かがあったりするのかなと、ちょっと考えてしまった1本です(^^ゞ
監督:ロネ・シェルフィグ 出演:キャリー・マリガン ピーター・サースガード アルフレッド・モリナ カーラ・セイモア ドミニク・クーパー ロザムンド・パイク オリヴィア・ウィリアムズ
2009年 イギリス 原題:AN EDUCATION
(20100421)
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