長年漁師として暮らしてきた忠男(仲代達矢)は早くに一人娘を亡くし、
足を悪くした今では孫娘・春(徳永えり)に頼りながら暮らしていた。
そんな忠男が突然、家を飛び出した。
心配で忠男の後をついてきた春が家へ戻るように説得するが、
怒りに駆られた忠男は縁が遠くなった兄弟を訪ねる旅を始めてしまう。
まずは兄弟の中で一番仲の悪かった兄・重男(大滝秀治)の家を訪ねた。
立派な佇まいの家に目を奪われた春だったが、忠男は渋い顔を崩さない。
それでも、忠男は春が一人立ちするために自分を重男の家へ居候させてくれないかと頼んだ。
だが、重男には忠男を置けない理由があった…
二人の旅の行く末がとても切なかったです(T_T)
老年を迎えた77歳の主人公・忠男が兄弟を訪ね歩く物語です。
目的は自分を居候させてもらうこと。
何とも甘えん坊な気がしますけど、足の不自由な忠男にはその選択しか思い浮かびません。
兄弟たちはみな年賀状くらいしかやり取りが無く、その住所を目当てに旅を続けます。
でも、彼らにもにもいろいろ事情はあります。
立派な家に住んでいるけど出る予定が決まっている兄。
一番中が良かったのに、今は逢うことが出来なくなっていた弟。
また、不動産業を営んでいた別の弟もいつの間にか転居しています。
そして、忠男を唯一叱ってくれる姉は、働かざる者食うべからずときっちりと断ります。
そこには様々な現代社会の問題が反映されていました。
それにしても、仲代達矢さんと徳永えりさんのコンビが良かったです。
怒りっぽくて我がままで自己中な忠男。ほとんど3歳児のノリで孫娘をこき使います(^^ゞ
そんな甘えん坊な祖父に怒りの感情をぶつけつつも、見捨てられない19歳の孫娘・春。
私は祖父がいなかったので、祖父の存在があまり分からないのですけど、
こんなに我がままでも一緒に生きていこうと思うものなのだなあとちょっと羨ましかったです。
観終った時、春と一緒に旅が出来た忠男は幸せものだなあとしみじみ思ってしまいました。
ちょっと実家に電話をしてみようかな、と思った1本です。
監督:小林政広 出演:仲代達矢 徳永えり 大滝秀治 菅井きん 小林薫 田中裕子 淡島千景 柄本明 美保純 戸田菜穂 香川照之
2009年 日本
(20100511)
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公式サイトはこちらへ追伸
この映画は試写会で観ました。公開は5月22日以降の予定です。