中村弘平(成宮寛貴)は一人暮らししていた母が急死したため、実家に帰郷していた。
母・浪子(夏川結衣)は市民病院で看護士をしながら、女手ひとつで弘平を育ててくれた。
弘平も母の姿を見て育ったおかげで医師になり、ようやく東京の病院に勤めるまでになったところだった。
彼は母を東京へ呼び寄せようとしていたのだが、
母は今の病院を離れたくないと言い、実現しないまま亡くなった。
しかも、業務中に病院で倒れた挙句、救急車のたらい回しで手遅れになってしまったのだ。
悔しさとやるせない想いを抱えたまま、実家の部屋で取り急ぎ必要なものを探していた弘平は
ふと、母の日記を見つける。
そこには幼い弘平を保育園に預けて働いていた頃の母の心がありのままに描かれていた…
医療現場の危うさと、懸命に患者に向き合おうとするひとりの医師の強さが心に残りました。
約20年前の地方病院を舞台に、ひとりの看護士の目を通して地方医療の厳しい現状を描いた作品です。
その地方病院は冗談のように酷いありさまで、
助かる病人も下手な手術で亡くなってしまうような状態です。
手術室担当の看護士・中村浪子は、
今日も私の渡した器械で人が殺されていく…と日記に書いています。
そんな中、ひとりの医師・当麻(堤真一)がスーツケースを押しながらやって来ます。
彼はアメリカで高い評価を受けた経歴もあるほどの技術を持った医師です。
地方病院の建て直しを考えた市長(柄本明)に見込まれて呼ばれたのです。
名声や保身など自分のことばかり大切にして行動する医師たちが多い病院の中で、
当麻は患者の命を助けることを第一に考える医師でした。
診断違いにより重病となってしまった患者のことを知った彼は赴任した当日から手術室に入ります。
これまではこの病院では出来なかった難しい手術を鮮やかに行なう当麻の手捌きを見た中村看護士は
憂鬱だった手術の仕事が、やり甲斐のある素晴らしい仕事に変わっていくのを感じました。
そして、その気持ちは当麻が去った後も変わりませんでした。
それにしても手術シーンがリアルでした~
しかも、内臓がとてもリアルで…
一番メインの手術は肝臓だったのですけど、
肝硬変になった肝臓がこんな色になってしまうなんて…とビックリしました。
お酒好きの人が観たら、ちょっと心を変えるかも知れないなあなんて考えてしまうほどでした(^^ゞ
また、役者さんたちもみなさん頑張っていて、本当の手術に観えました。
病院とは安心して人が頼りたい場所だと思うのに…と考えると、
この映画に描かれている状況はあまりにも怖すぎました。
病院は場所ではなくて医師の力でいい病院にも悪い病院にもなるのだなあと実感しました。
そして観終った時、治療は技術ではなくてシステムで決定しているのかな、でも、
当麻みたいな医師がいたら、少しずつ変わって行けるのかも知れないとちょっと感じた1本です。
監督:成島出 出演:堤真一 夏川結衣 余貴美子 平田満 矢島健一 余貴美子 生瀬勝久 柄本明
2010年 日本
(20100613)
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