第二次世界大戦後、ウィーンはアメリカ、イギリス、フランス、ソビエトの四ヶ国による四分割統治下にあった。
だが、ウィーンは他の都市に比べると戦争の被害も少なめで、人々は活気を取り戻しつつあった。
ある日、アメリカからホリー・マーチンス(ジョセフ・コットン)がウィーンの空港に降り立った。
売れない小説家だったホリーを心配した親友ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)が
彼をウィーンへ呼んでくれたのだ。
早速、ハリーのアパートへ向かうと、管理人が一足遅かったと声をかけた。
何とハリーは自動車事故で亡くなってしまったのだ。
頼りにしていた親友の葬式に駆けつけると、少ない友人や恋人のほかにイギリス軍も見張っていた。
イギリス軍のキャロウェイ少佐(トレヴァー・ハワード)に声をかけられたホリーが自分の事情を話すと
少佐は飛行機を手配するのでここを去れと言ってホテルまで送ってくれた。
だが、親友の死に疑問を持ったホリーは、関係者に話を聴こうと動き始めた…
“ザッツ・ハードボイルド”でした~
特異な状況下の街で起きた親友の死。
その死に疑問点を抱いたホリーは親友の関係者や恋人に話を聴き始めます。
でも、人によって話は食い違うし、謎は深まるばかり。
しかも、彼が話を聴こうとしていた管理人は何者かに殺されてしまいます。
そして、話に出てきた“第三の男”がとうとう現れました。
それにしても、何とも言えない緊張感でした。
四分割統治下のウィーンは言葉も通じにくく、中立地帯以外には他軍は自由に入り込めません。
映画は昔の映画らしい、ちょっとゆるやかなテンポで進んでいくのですけど
特異な街の状況が不思議な緊張感を伝えています。
つい親友の秘密に首を突っ込んでくる主人公ホリーはとてもアメリカ人らしいキャラクターなのですけど、
そんな彼でさえも自由気ままに動くことは出来ません。
そして、謎が解けた後に起こる下水道での追跡劇は、影と靴音と
どこから聞こえてくるのか分からないような言葉の反響にドキドキしてしまいました(^^ゞ
ラストシーンの並木道もとても印象的でした。
観終った時、これがハードボイルドですね~と感じた1本です。
監督:キャロル・リード 出演:ジョセフ・コットン オーソン・ウェルズ アリダ・ヴァリ トレヴァー・ハワード バーナード・リー
1949年 イギリス 原題:THE THIRD MAN
(20100719)