1970年代の文化大革命の中国では政治的な文化政策により、
バレエダンサーの英才教育が行なわれようとしていた。
山東省の貧しい農家が集う小さな村にも北京から調査員が来た。
小学校の教室をざっと見た調査員は、ダンサーになるような該当者は誰も居ないと言って去ろうとした。
だが、担任教師が11歳のリー・ツンシン(ホアン・ウェンビン)を推薦したことにより
町で選定の試験を受けることになる。
身体能力の高さを認められて大勢の中から選ばれたリーは、北京の舞踏学校へ送られることになった。
親や兄弟から離れることを寂しがるリーだったが、北京へ行けるチャンスなどこの村ではめったにない。
リーは家族の希望、そして村をあげての希望として舞踏学校に入学した。
だが、パワーが不足しているリーには、教師から罵倒されながら練習する日々が待っていた…
主人公の運命は世界へと向かっていました。
中国からアメリカへ渡り、そして世界的なバレエダンサーとなったリー・ツンシンの半生を描いた作品です。
幼い頃に家族から離れ、遠い北京へとやって来たリーは、いつも厳しい練習を辛く思っていました。
でも、母からの励ましの言葉は家族への愛と共に彼の心にいつも残っています。
そして、バレエを愛する恩師からその美しさと素晴らしさを教えられた彼は、
逃げ出すことなく懸命に鍛錬を積み、やがては不足だったパワーを身につけるようになりました。
成長したリーは精神的な強さを認められて3ヶ月のアメリカ留学へと送られます。
初めて見る近代的な建物や車、そして生活文化の違いに目を丸くするリーでしたけど、
彼の心は素直で、アメリカの生活は害だという外交官の言うことを聞こうとします。
でも、次第にリーは彼の才能を認めて親切にしてくれる人々に心を開くようになり、
アメリカの持つ自由を心から楽しむようになります。
そして、政治的にではなく美しさを追求して踊ることの大切さを実感した時、
中国ではなくアメリカで踊り続けたいという希望が生まれ始めます。
でも、それはリーだけではなく彼の家族の運命も揺るがすような事件となっていきました。
それにしても、素晴らしいダンスでした~
教師の推薦と能力を買われてダンスの英才教育を受け始めた少年時代。
練習に落ちこぼれながら苦労して心身ともに強くなっていった青年時代。
そして、高い身体能力と表現力で才能を開花していった成年時代。
それぞれを才能ある3人が演じています。
特に成年時代を演じたツァオ・チーは英バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の
プリンシパルとして活躍しているダンサーで、
そのダンスシーンはバレエをほとんど観たことがない私でも感動させられるほど力強く美しかったです。
映画を観て、中国のここ数十年の変動の大きさに改めて驚きました。
そんな激動の中を必死に頑張ったリー・ツンシンが才能を開花することが出来て
本当に良かったなあとしみじみ感じた1本です。
監督:ブルース・ベレスフォード 出演:ツァオ・チー グオ・チャンウ ホアン・ウェンビン ジョアン・チェン ブルース・グリーンウッド アマンダ・シュル カイル・マクラクラン
2009年 オーストラリア 原題:MAO'S LAST DANCER
(20100803)
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公式サイトはこちらへ追伸
この映画は試写会で観ました。公開は8月28日以降の予定です。