白血病を患っていた高校生の華[ハナ](谷村美月)は半年の入院を経てようやく退院することが出来た。
その日はちょうど9月に開かれる片貝まつりの日だった。
行列で賑わう町を見ながら、間に合って良かったねと母に言われて笑顔の華だったが、
帰宅してみると、大好きな兄・太郎(高良健吾)が引きこもりになっていた。
もともと喘息持ちの華のためにと東京から引っ越して来たので、
当時中学三年生になっていた兄は地元に慣れることが出来ず、友達も出来なかった。
そのまま高校生活を送ってしまった兄は高校卒業の日に父と喧嘩し、
とうとう自室へ引き篭もってしまったのだ。
大人しい兄とは反対にいつも笑顔で友達の多い華は、何とか兄を外に出そうといろいろ画策を始める。
ようやく始めた新聞配達のバイトに付き添って励ます華のおかげで、兄も少しずつ変わり始めた。
だが冬の近付いてきた寒い雨の日に、華は白血病を再発してしまった…
打ち上げ花火の美しさが心に響きました(T_T)
お兄ちゃん想いだった妹のために花火を上げようと必死に頑張る兄の物語です。
片貝まつりで打ち上げられる花火は町民たちがさまざまな願いを込めて
自費で打ち上げるものが中心だそうです。
特に町では中学卒業と同時に同級生で作られるグループ単位で
成人から還暦まで記念の年に打ち上げ花火を揚げます。
彼らは一生の付き合いになるのです。
中3の途中で転校してきた兄がこの町に馴染めなかった難しさはここにもあるようです。
そして中3の時に仲間に入れなかった兄は、この先ずっと孤独になってしまうのです。
翌年には二十歳を迎える兄・太郎は、同級生のグループ“翠嶂会”に入っていません。
妹はグループで最初にあげる成人の花火を見たいと願い、翠嶂会への入会を勧めます。
何とか新聞配達のバイトも続くようになった兄は、病床の妹の希望を叶えたいと強く願うようになります。
そして会の一部の仲間には強い反発を受けながらも、
何とか会に参加することが出来るようになりました。
ようやく兄が明るさを取り戻し、華に念願の花火を見せられると明るい希望が見えてきた時、
華は突然帰らぬ人になってしまいました(T_T)
それにしても、高良健吾さんと谷村美月さんはやっぱり上手いですね~
大人しくて不器用だけど、妹のために必死に頑張ろうとするおにいちゃんと
病床にあっても明るさを失わない華の兄妹に、この二人はぴったりでした。
そして、もう一つの主役、花火の美しさも印象的です。
花火ひとつひとつに込められる人々の想いの強さには、それだけでも心に響きました。
そして、想いを理解しながら見る花火は、
打ち上げられているのを観ているだけでも幸せな気持ちになりました。
こんなふうに花火を見上げることが出来るのは幸せなのだなあとしみじみ感じました。
新潟に行ったことはないのですけど、このお祭りには一度行ってみたいなあとちょっと思った1本です。
監督:国本雅広 出演:高良健吾 谷村美月 宮崎美子 大杉漣 早織 尾上寛之
2010年 日本
(20100820)
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公式サイトはこちらへ追伸
この映画は試写会で観ました。公開は9月25日以降の予定です。(9月11日より新潟先行公開あり。)