江戸時代末期の幕府は、黒船の到来で大きく揺れていた。
病弱だった将軍の亡き後、幼い将軍を盾に権力を牛耳った井伊直弼(伊武雅刀)は
対抗する徳川斉昭(北大路欣也)を退かせてしまう。
また、井伊は敵対する人物を次々と始末して、ますます権力を広げていた。
その上で鎖国を揺るがすような政策を始めた井伊に対して、水戸藩士たちの中に現状に対する危機感が募り始める。
折りしも、同じ危機感を持つ薩摩と連携が取れた水戸藩士たちは、
自分たちの命をかけて井伊を暗殺する決意をした…
歴史の裏にある事実はかなり辛いものでした(T_T)
桜田門外ノ変を実行した人たちのその後までを追った作品です。
桜田門外ノ変で誰が暗殺されたかとかは知ってましたけど、
実行した水戸藩士たちがどのようになったのかはこの映画を観るまで知りませんでした。
死が決定するたびに、画面にそれぞれの氏名と享年が出てくるのですけど、
それだけでも哀しくなってしまいます。
特に事変を起こした時に亡くなった侍だけでなく、その後に捕まって死罪となる侍たちの
恨めしそうな表情が何とも言えませんでした(T_T)
その中でも中心人物の一人だったのが主人公の関鉄之介(大沢たかお)です。
彼は高い位の武士ではないですけれど、冷静な判断と計画性で事変の中心人物となります。
役目を任命された彼は、その場で戦うのではなく計画を立てて見守る役目になります。
仲間たちが血だらけで戦う姿を見るのはとても辛いものです。
彼にはその辛さに耐える心の強さもあったのかも知れません。
そして、事変が成功した後、彼は賛同してくれた薩摩の援軍を待ちました。
でも、薩摩はもはや動こうとしません。
もともと計画に何年もかけていたため、約束した人々が役目を降りていたり代替わりしてしまっていたのです。
世のためにと信念を持って行ったことにより四面楚歌になっていく様子は、あまりにも無念だったろうと思いました。
それにしても、とてもまじめな作品だなと感じました。
エンターテイメントよりも史実を伝えたくて作り上げたという印象です。
その史実は今まで知らなかったことも多く、歴史は人々が生きて死んだ証なのだなと改めて考えてしまいました。
また、桜田門の外の様子はセットで作り上げたと知らなければ実際の場所で映したのですかと思うほど
その当時そのもので、役者さんたちの迫力と共に印象に残りました。
観終わった時は哀しみでいっぱいになってしまいましたけど、
事実を知ることは大切だなあと感じた1本です。
監督:佐藤純彌 出演:大沢たかお 伊武雅刀 北大路欣也 西村雅彦 生瀬勝久 温水洋一 長谷川京子 加藤清史郎
2010年 日本
(20100922)
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この映画は試写会で観ました。公開は10月16日以降の予定です。