鹿児島市に住む小学生の航一(前田航基)は今朝も桜島の噴煙に顔をしかめていた。
暑さのために窓を開けて寝ると、朝には部屋中が灰だらけになってしまうのだ。
部屋を丹念に拭き掃除し、母と祖父母に見送られて学校へ向かった航一は
一緒に行く友・達佑(林凌雅)と真(永吉星之介)に、遅いと怒られてしまった。
部屋を掃除していたと言い訳した航一は、二人に変な顔をされてしまう。
二人にとっては灰など当たり前のことだったのだ。
両親の離婚に伴い、大阪から母の実家へとやって来た航一にとって、
常に噴火している山の風景は“訳分からん”得体の知れないものだった…
父の下にいる弟を思う兄の心遣いにほろりとさせられました。
小学生の兄弟を中心に、子供や大人の様々な思惑を映し出している作品です。
大阪から母と共に鹿児島へやって来た兄・航一。
父と共に福岡へやって来た弟・龍之介(前田旺志郎)。
離婚した親同士は全くですけど兄弟は仲が良くて、よく電話で連絡を取り合っています。
兄は電話で灰の愚痴などをこぼしていますけど、明るくて人気者の弟は苦労などどこ吹く風。
生活力の無い父のもとで自足自給に近い暮らしをしていても、元気に笑っています。
兄が再び家族4人で暮らすことを夢見ている一方で、弟は今、蒔いたそら豆が成長中だからなと
ちょっと言葉を濁すところは、可愛く思える反面泣けるなあと思いました。
そんな中、航一は友達の話から、九州新幹線が初めてすれ違う時、願いが叶うという噂を知ります。
これはもう、家族で暮らすには奇跡をお願いするしかありません。
早速、航一は友達と地図ですれ違うと思われる場所を調べ、龍之介に計画を話します。
そして、兄と弟は計画実行のため、それぞれに動き始めました。
それにしても、やっぱり是枝監督は子供たちを撮るのが上手いですね~
彼らの活き活きとした表情や行動、そして何と言っても話す言葉が楽しくて、
子供たちが活躍し始めた後半は笑い通しでした。
そして、そんな子供たちに元気を貰う大人たちの気持ちも分かるなあと感じました。
子供たちが自分の置かれている環境や生活をしっかりと受け止めて未来を見つめようとしている姿に
自分も頑張らなくちゃと思いました。
やっぱり子供って未来であり希望だなとしみじみと感じた1本です。
監督:是枝裕和 出演:前田航基 前田旺志郎 オダギリジョー 大塚寧々 橋爪功 樹木希林 林凌雅 永吉星之介 内田伽羅 橋本環奈 磯邊蓮登
2011年 日本
(20110615)
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