藤沢周平著の短編小説を映画化した時代劇です。
『山桜』が好きだったので、この作品も楽しみにしていました。
シンプルな展開の中で、様々な情を交差させながらも優しい余韻の残るような作品でした。
ある日、戊井朔之助(東山紀之)は老中・助川(笹野高史)に呼び出された。
脱藩した佐久間(片岡愛之助)を追っていた藩士が戻って来たのだが、
佐久間を討ち取ることは出来ずに、病におかされたための帰国だった。
そして、次に討ち手の候補は剣の腕がたつ朔之助になったというのだ。
しかし、朔之助は丁寧に断りを伝える。
実は佐久間の妻は朔之助の妹・田鶴(菊地凛子)だった。
だが、老中はそのことも加味した上で、田鶴の命を助けるためには朔之助の方が良いと説いた。
仕方なく朔之助はその上意を受け入れ、顔を曇らせながら家へと帰っていった…
武士はやっぱり面倒な生き物だなと感じました^^;
お殿様の機嫌を損ねてしまったために、とうとう死ぬことになってしまった友人を追う武士の物語です。
主人公は武士らしい武士というか、とにかく冷静で武士の常識の中できちんと生きている人です。
一方、友人は農民のために正しいことを主張したのですけど、やり方が拙くてお殿様を怒らせてしまいました。
正しいからといって、それが通る世の中ではないのはいつの時代も一緒。
そして、上に立つような人が、プライドが高くて扱いにくいのも一緒ですね。
世の中間管理職の人が観ていたら、共感できるところがいっぱいという気がしました。
それにしても、東山紀之さんはこういうキャラクターの武士が似合いますね~
静かに時を待つ姿がこんなにも似合うなんて凄いなあと思いながら観ていました。
周りの俳優陣もみんな上手くて、静かに語られる言葉の端々にいろいろな想いを感じました。
また、対決のシーンの迫力もさすがでした。
観終わった時、こういう映画を暑い夏に涼しい映画館で見られるのは
日本の素敵なところかもとちょっと思った1本です。
監督:篠原哲雄 出演:東山紀之 勝地涼 片岡愛之助 菊地凛子 尾野真千子 藤竜也
2011年 日本
(20110714)
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