『シン・レッド・ライン』のテレンス・マリック監督最新作です。
実は『シン・レッド・ライン』も『天国の日々』未見で、この監督さんの作品を観るのは初めてです。
噂通りの映像美と、何でも感じられるようでいて答えのない問いかけのような展開に圧倒されました。
小さな人間の中にある人生を壮大な映像で映し出していました。
一人の男が人生を振り返りながら、自分を見つめていく物語です。
成功者として都会で働くジャック(ショーン・ペン)は、ふと子供の頃の自分を振り返ります。
彼は3人兄弟の長男で、家は地方都市の静かな町にありました。
彼にとても高圧的で妻や子供たちを意のままに支配しようとする父(ブラッド・ピット)と
穏やかに神を信じて、子供たちを優しく愛してくれる母(ジェシカ・チャステイン)のもとで育ちました。
ジャックにとって父は息の詰まる憎い存在でした。
私もこんな父のもとで育ったら荒れるだろうなあと思ったりするほど、理不尽に支配しようとする人間でした。
ただ、父は自分のことを負け組だと思っていて、息子たちには自分のようにはなるなと言っています。
プライドが高いからとかではなく、この父にとって仕事以外の人間との接し方は
これしか知らないのかもとちょっと思いながら観ていました。
ある意味、とても可哀想な人です。
きっとジャックも父と同じ年齢になって、それを理解したのだろうと感じました。
それにしても、宇宙や美しい映像を交えながら、数少ない独白のような台詞を織り込んでいく展開には
どう感じたらいいのだろうかと考えてしまいました。
でも、きっと、この作品には答えなど無いのですよね。
途中までどうしようかと思いながら観ていたのですけど、
答えは自分の心に委ねながら何かを感じ取っていけばいいのかなと思うようになっていきました(^^ゞ
観終わった時、主人公ジャックの浅い夢を一緒に観ていた気分になりました。
この作品も観る度に感じることが変わっていくのだろうなと感じた1本です。
監督:テレンス・マリック 出演:ブラッド・ピット ショーン・ペン ジェシカ・チャステイン ハンター・マクラケン ララミー・エップラー タイ・シェリダン
2011年 アメリカ 原題:THE TREE OF LIFE
(20110814)
→
公式サイトはこちらへ http://www.movies.co.jp/tree-life/