親の存在は何歳になっても影響を与えていくのだなあとしみじみと感じました。
父の死をきっかけに自分の人生を見つめなおす青年の物語です。
38歳のオリヴァー(ユアン・マクレガー)はクライアントから依頼されてイラストを描くデザイナー。
仕事はそこそこ順調ですけど、恋人なしの寂しい生活を送っていました。
子供の頃から夫婦仲があまり良くなかった両親を見て、母の寂しさを感じながら育ったため、
愛に積極的になれない性格になってしまったのです。
そんなオリヴァーの母が亡くなってしばらくたったある日のこと。
オリヴァーの父ハル(クリストファー・プラマー)は突然に自分がゲイであることをカミングアウトします。
戸惑うオリヴァーは、開放的になった父が愛に積極的に行動する姿を呆然とするだけ。
それでも彼は今の父を認めてその心を尊重し、見守っていきます。
でも、父の幸せな時は長続きしません。ガンになってしまったのです。
投薬による治療を始めた父は、誰にも病気や余命を告げることなく最後まで楽しい時を過ごします。
そして、父を看取った時、オリヴァーに残ったのは愛犬アーサーと大きな喪失感でした(T_T)
それにしても、ユアン・マクレガーはこういう役が上手いですね。
昨年は彼の出演作を何本も観ましたけど、観るたびに役にぴったりになっていてさすがだなあと感じます。
今作も心に子供の頃に感じた痛みをずっと抱えながら、どうすることも出来なくて立ち竦んでしまうという
難しい役を控えめな笑顔で自然に演じていました。
また、彼に大きな影響を与えた父クリストファー・プラマーの笑顔も素敵でした。
先日に観た『ドラゴン・タトゥーの女』でもさりげなく存在感がありましたけど、今回の役は準主役。
彼の持つカリスマ性と存在感を遺憾なく発揮してキラキラ輝いていました。
オリヴァーに久々の愛を運ぶアナ役のメラニー・ロランにもその美しさと繊細さで魅了されました。
そして、何と言っても愛犬アーサー役のジャックラッセル・テリア、コスモくんが最高に可愛かったです。
エンドロールの前に映し出されたタイトルに、これからまた主人公の人生が始まるような予感を感じました。
観終った時、彼はきっと幸せになれますようにと願った1本です。
監督:マイク・ミルズ 出演:ユアン・マクレガー クリストファー・プラマー メラニー・ロラン ゴラン・ヴィシュニック
2010年 アメリカ 原題:BEGINNERS
(20120222)
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公式サイトはこちらへ http://www.jinsei-beginners.com/