各社競作企画映画“はやぶさ”の松竹版です。
これまでの「
はやぶさ/HAYABUSA」「
はやぶさ 遥かなる帰還」と観て来たので、
どうせなら今作もチャレンジしようと決めていました。
親子の絆を絡めながら、はやぶさの偉業を子供にも分かるように丁寧に伝えてくれる作品でした。
過去の失敗ばかり追ってはいけないなあとしみじみ感じてしまいました。
はやぶさの前に挑んだ、火星探査機のぞみの失敗から始まります。
のぞみは数々の苦難を乗り越えて火星にかなり近付いたところで、諦めざるを得ない事態になります。
多くの人々の希望と巨額の予算を使った企画だっただけに、失敗への失望感もひとしおです。
世間の冷たい批判の中で、中心になっていた大橋教授(三浦友和)は宇宙研究から遠ざかってしまいました。
今回の物語の主人公はこの大橋教授の息子・大橋健人(藤原竜也)です。
健人ははやぶさのエンジンを担当するエンジニアで、才能はあるのですけど
我が強すぎて同僚たちといろいろ衝突を起こしてしまうような性格です。
つい、自分が正しいからと自分の意見を通してしまうのです。
それは、今回のはやぶさをどうしても失敗させたくないという強い気持ちから起きていました。
そして、その強い気持ちは宇宙研究に背を向けてしまった父への反発でもありました。
でも、度重なるトラブルから、はやぶさはとうとう通信が出来なくなってしまいます。
60~70%の確立で通信できる状態になるかもという可能性はありましたけど、
過去の実績から言えば、ロストした宇宙衛星は見つかったことがありません。
健人も諦めて、次の企画の仕事に取り掛かってしまいます。
そんな彼に同僚の奈緒子(杏)は逃げるの?と問いかけました。
それにしても、分かりやすい物語でした。
「遥かなる帰還」がプロジェクトXなら、今作は夏休みのスペシャルっぽいです。
一瞬ですけど、宇宙の起源や大きさを伝えてくれて、
はやぶさの旅がどれくらい遠いものなのかを理解させてくれました。
そして、このプロジェクトにどれだけ多くの人々の想いが詰まっているかを実感させてくれました。
はやぶさのことを知りたいファミリーで観るにはぴったりかもと思った1本です。
監督:本木克英 出演:藤原竜也 三浦友和 大杉漣 中村梅雀 杏 森口瑤子 田中直樹 前田旺志郎 豊原功補 宮崎美子
2012年 日本
(20120310)
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