ぱいかじ南海作戦

椎名誠著の同名小説を阿部サダヲ主演で描いた楽しいコメディです。
予告編を観て、南の海とドタバタ劇なんて面白そうだなと楽しみにしていました。
美しい風景と出演者たちの笑顔が印象に残る、ちょっと可笑しな冒険物語でした。

主人公は本当の夢をかなえに行きました～

失業と離婚が一度にやって来た中年男のサバイバルな南海生活を描いた作品です。
39歳の佐々木（阿部サダヲ）は勤めていた会社が倒産した上に、長年心がすれ違っていた妻と離婚し
傷心のあまり南へ向かって旅立ちました。
目的地は国内で落ち着ける南の島ということで、沖縄を通り過ぎた先にある西表島になりました。
宿泊先も決めずに島へやって来た佐々木は、浜辺へやってくると風景の美しさに見とれてしまいます。

その時、佐々木が自分独りだと思っていた浜辺には、ちょっと不思議な男たちが現れます。
そのマンボさん（ピエール瀧）をはじめとした4人組はこの浜辺に住み着いたホームレスたちでした。
様々な経歴を持ちながらこの場所に行き着いた彼らは、暖かい気候と海の恵みで気楽な生活しています。
そんな彼らの笑顔に誘われるように一緒に暮らし始めた佐々木は、毎日が愉快で最高な気分です。
でも、火を囲みながら楽しく宴会をした翌朝、寝坊した佐々木が目を覚ますと、
そこには彼らの姿も彼らの荷物も、そして佐々木の荷物も全て無くなっていました(>_<)

何とも椎名誠らしい物語で楽しかったです。
のんびりと南の島へやって来て、荷物を全部盗られてしまうのですけど、
主人公はどうしても彼らを怒る気になれないと思ってしまうのです^_^;
そして、間も無く浜辺にやって来た若者・オッコチ（永山絢斗）やアパ（貫地谷しほり）、キミ（佐々木希）と
かなり楽しいキャンプ生活を始めるのです。
そのゆるさと愉快な雰囲気がスクリーンから伝わってきて、観ている方も楽しい気分になりました(^^ゞ

やがて佐々木は都会から抱えてきた心の痛みも癒され、少しずつ自分を取り戻し始めます。
そして、嘘で塗り固めていた鎧を外して、自分の全てを若者たちに正直に伝えることが出来た時、
ようやく佐々木は本当の笑顔を取り戻したように見えました。

観終った時、ちょっと夏休み気分を味わったような気がしました。
こんな美しい風景と“ぱいかじ”の風をいつか本当に感じてみたいなあと思った1本です。



監督：細川徹　出演：阿部サダヲ　永山絢斗　貫地谷しほり　佐々木希　ピエール瀧　浅野和之　斉木しげる　大水洋介
2012年　日本
（20120719）

→公式サイトはこちらへ　http://paikaji-movie.com/