“ツナグ”の役割を真剣に考えていく主人公の姿が印象的でした。
死んだ人と1度だけ会える機会をセッティングする“ツナグ”を巡る物語です。
高校生の渋谷歩美(松坂桃李)は幼い頃に両親を亡くし、祖母に育てられた普通の心優しい男の子です。
でも、実は彼の祖母(樹木希林)の実家は代々“ツナグ”という能力を持っていて、
父無き今、次にその能力を継承するのは歩美になっていました。
最近、特に体力の落ちてきた祖母の手伝い&能力を引き受けるための準備期間として、
歩美は依頼者を死者の元へと案内する役目を担い始めました。
まずは連絡のあった依頼者と会い、“ツナグ”のルールを説明し、会いたい人の情報を聞きます。
死者にも拒否権があるので一方通行の想いだけでは会うことが出来ないのです。
持ち帰った情報から祖母が死者と連絡を取り、OKだったら歩美が面会場所と日時を依頼者に伝えます。
そして、面会当日は無事に面会が終わるまで、近くで待機し、依頼者と別れるまでが役目でした。
でも、最初の依頼者(遠藤憲一)は歩美の若さから死者と会えること自体を疑い始め、
歩美は前途多難な予感に戸惑いを隠せませんでした。
それにしても、人の想いの強さを感じるような物語でした。
3組の依頼者が登場するのですけど、それぞれに事情があってとても切ないのです。
最初の依頼者で、亡くなった母(八千草薫)と面会した頑固親父(遠藤憲一)の物語は
母の優しいキャラクターと頑固親父の良い人そうなキャラクターにちょっと心が温かくなったのですけど、
次の高校生コンビ・美砂(橋本愛)と奈津(大野いと)の物語には胸が痛くなりました。
そして、ラストの会社員・土谷(佐藤隆太)と失踪した婚約者・キラリ(桐谷美玲)の物語は
哀しい運命を乗り越えて未来を歩いていこうとする人の強さを信じたくなりました。
観終った時、生きている人への勇気を貰ったような気がしました。
“ツナグ”が本当にいたら、自分だったら誰に会いたいだろうなあと考えてしまった1本です。
監督:平川雄一朗 出演:松坂桃李 樹木希林 遠藤憲一 八千草薫 橋本愛 大野いと 佐藤隆太 桐谷美玲 別所哲也 本上まなみ 仲代達矢
2012年 日本
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