はなればなれに ～東京国際映画祭より～

現代の都会に生きる3人の若者の姿を描いた人間ドラマです。
どんな今を生きる若者たちで物語が描かれているのだろうと気になったのでチャレンジしてみました。
とても静かな映像の中に映し出されている何気ない行動が、ちょっと面白く感じるような作品でした。

何となくこれが今時の若者かなと思えたところが色々あって可笑しかったです。

これまでの生活が壊れてしまった3人の若者の物語です。
一人はパン職人になりたくて個人店で働き始めたのに、いつまでも売り子しかさせてもらえなくて
とうとう嫌気が差して仕事を辞めてしまった女の子クロ（城戸愛莉）です。
彼女はちょっと手癖が悪いところもあるのですけど、飄々と生きていて憎めない雰囲気のある子です。
スタイル抜群で可愛いので、すぐに舞台女優にならないかとスカウトされます。
でも、本人にその気はまったくありませんでした。

もう一人はカメラマンの英斗（斉藤 悠）です。
彼は遅くまで仕事をした翌日に寝坊して、婚約者（松本若菜）との大切な約束を忘れてしまいました。
それを知った彼女の方は彼を詰り、あまりのことに我を忘れて彼の大切なカメラを壊してしまいます。
それを見た英斗はそのまま家を飛び出して、自分の親戚が持つ廃業したホテルへ向かいました。
お互いに離れてもう一度考えた方がいいと考えたかは分かりませんけど(^^ゞ

3番目は舞台の脚本＆演出をしている豪（中泉英雄）。
美人の主演女優の奥さんに浮気を勘繰られて、2週間後の舞台の主役を降りられてしまいます。
困った豪が街で目に留めたのがクロです。
声をかけても全く連れないクロでしたけど、彼女が男たちに追いかけられているのを見かけて
強引に車に連れ込みます。
そして、二人で現実である街から遠ざかっている時、偶然に親戚の持つ廃業したホテルへ
向かおうとしていた英斗と出会いました。
そして3人の不思議な1週間が始まりました。

それにしても、雰囲気を受け止めるような作品でした。
台詞も音楽も少ないので、キャラクターたちがどんなことを思っているのか考えさせられます。
彼らは自由に動いているように見えるのですけど、実はかなり考えている1週間のようです。
様々な思いの果てに、彼らは自分の道への答えを出すのです。

また、過去の映画へのオマージュがたくさんあるそうなのですけど、
古い映画をあまり知らない私には、きっとほとんど分からなかったです(^^ゞ
いつか答えが知りたいなと思いました。
そして、この映画の雰囲気がちゃんと理解できるといいなあと感じました。

ラストシーンのクロの笑顔が素敵でした。
観終った時、みんなとりあえず落ち着いてよかった～と思った1本です。



監督：下手大輔　出演：城戸愛莉　斉藤 悠　中泉英雄　松本若菜　NorA　我妻三輪子　梶原ひかり　境 浩一朗
2012年　日本
（20121021）