新津きよみ著の小説『ふたたびの加奈子』を原作に映画化したドラマです。
原作が最初はハルキ・ホラー文庫から出たものだったので、
ホラー?と気になりながらもチャレンジしてみました(^^ゞ
ホラーというよりは春の季節にふさわしい、切なくて優しさを感じるような物語が描かれていました。
桜って儚い花だなあとしみじみと思ってしまいました。
お葬式のシーンから始まる物語です。
小学校の入学式直前に6歳のひとり娘・加奈子を亡くした母・容子(広末涼子)は
お葬式が終わってからも自失呆然です。
数日が過ぎても、夫(稲垣吾郎)から位牌に手を合わせて欲しいと言われても、
加奈子はそこにはいないと主張して見向きもせずに、横になっているばかりでした。
そんな日々が続き、思いつめた容子は加奈子に会いに行きたいと自殺を図ります。
彼女が娘の名前を呼びながら気が遠くなっていった容子でしたけど、発見が早くて助かります。
仕事に出ていた夫が病院に駆けつけたところ、医者から通報が早くて良かったと言われました。
そして、その日から彼女は何故かいつも傍に加奈子がいると信じ、娘の分の食事も作るようになります。
でも、夫には彼女の行為は受け入れ難いものでした。
それにしても、本当に切ない物語ですね。
家族を亡くすことは心の痛みを伴うものですけど、特に幼い我が子を亡くす辛さは
想像以上の悲しみだと思います。
不慮の交通事故で娘を亡くしたという強い悲しみに囚われ続ける容子の姿は観ている方も辛かったです。
でも、そこはちょっとホラーな要素もあるので、不思議な気配が登場すると次第に展開が変わっていきます。
ただ、それが本当に気配なのか、容子の思い込みなのかははっきりしません。
そして、彼女の願いを運命が叶えたかのように、その頃に知り合いになった女性に赤ちゃんが生まれます。
それは彼女に希望を持たせると共に、現実を見つめるきっかけにもなっていきました。
何回かの桜の季節が巡ってきた後、ようやく前向きな未来を感じられるようになってほっとしました。
観終った時、こんなふうに子供を愛する気持ちが普遍だといいなあとちょっと思った1本です。
監督:栗村実 出演:広末涼子 稲垣吾郎 福田麻由子 高田翔 江波杏子 吉岡麻由子
2013年 日本
(20130407)
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公式サイトはこちらへ http://sakura-kanako.jp/