戦争は全ての愛を殺してしまいました(T_T)
1992年から始まる物語です。
ムスリム系ボスニア人の画家アイラ(ザーナ・マリアノヴィッチ)と
セルビア系ボスニア人の警察官ダニエル(ゴラン・コスティック)は交際を始めたばかりのカップルです。
その夜も待ち合わせをして、愛をささやき合いながらクラブで甘いひと時を過ごしていました。
でも、その甘やかなデートは爆弾の爆発と共に終わります。
多数の死傷者を出したその爆発は、その後に続く内紛の始まりでした(T_T)
4ヵ月後。音信普通になっていた二人が再会したのは、捕虜と兵士という最悪の状況でした。
アイラが多くの女性たちと共にセルビア兵の兵舎に囚われてきたのです。
ダニエルはなるべくアイラを守ろうとしますが、関係は秘密なため出来ることには限られてしまいます。
また、家に残されたアイラの姉レイラ(ヴァネッサ・グロッジョ)にも愛児を殺されるという悲劇が待っていました(T_T)
それにしても、こういう作品は覚悟を決めて観ても辛いですね。
女性たちが辱められ、心身ともに傷つけられていく様子には胸が締め付けられました。
あまりのことに、もう耐えられない、夫には絶対に知られたくないと嘆く綺麗な女性の姿に
以前に観たイザベル・コイシェ監督作品『あなたになら言える秘密のこと』を思い出していました。
また、兵士となったダニエルにも苦悩がありました。
もともと家系として兵士にはなっていましたけど、彼自身は殺し合いをしたいとは思っていません。
アイラのことも大切にしたいと思っていますが、状況が許しません。
特に彼の父はセルビア軍を率いている将軍だったため、将軍の息子としての期待がのしかかっていたのです。
そんな逆境の中でも、アイラとダニエルは心を通じ合わせようとします。
束の間の綱渡りのような逢瀬にも、時には二人は笑顔を見せていました。
でも、アイラは我が子を亡くした姉の憎しみによって、ダニエルは親兄弟を殺された父の憎しみによって
破滅へと向かってしまいました(-_-)
隣人を愛そうとした二人が肉親の持つ憎しみによって未来を見られなくなってしまったのが哀しかったです。
過去の憎しみにとらわれて隣人を憎むことや、どんなに大義名分があっても戦争をすることは
結局は自分たちの破滅になっていくのだと改めて感じました。
また、例え内紛を生き残っても、その時に受けた傷は癒すのが困難だろうなとしみじみと思ってしまいました。
観終わった時、こんな悲劇は二度と繰り返して欲しくないと感じました。
全ての犠牲者に祈りを捧げたいと思った1本です。
監督:アンジェリーナ・ジョリー 出演:ザーナ・マリアノヴィッチ ゴラン・コスティック レイド・セルベッジア ヴァネッサ・グロッジョ
2011年 アメリカ 原題:IN THE LAND OF BLOOD AND HONEY
(20130819)
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公式サイトはこちらへ http://saiainodaichi.ayapro.ne.jp/