息子を想う母の心が切なかったです(T_T)
昭和21年1月14日。海を見つめていた森本千代子(比嘉愛未)は航空機のエンジン音を聞きつけます。
何事かと慌てて音を追うと、砂浜に外国の航空機が不時着していました。
ケガ人はと心配して近寄った彼女は、降りてきた兵士にたどたどしい英語で大丈夫かと尋ねました。
すると、そこに高千村の村長(柄本明)が役場の職員たちと駆けつけてきました。
飛んできたのがイギリス軍用機だと分かり女子供は外に出すなと指示を出したばかりだったので、
若い女の身で外国の兵士と話そうとしている千代子を見て驚きます。
彼女の父でもある村長が思わず怒りに駆られて彼女を打とうとした時、兵士はその手を止めました。
その後、兵士たちに不時着した事情を聞いて役場に帰り、村としてはどうしたら良いかを相談し始めました。
上海から東京へイギリス総領事を送る途中で悪天候のために不時着したので、
政府からは丁重な対処を求められています。
でも、政府からも県からも、何の援助もありません。小さな村には荷が重過ぎる事態です。
しかも、まだ戦争の傷跡は大きく、数ヶ月前まで憎むべき敵国と教わってきた国の人々に対する心の壁は
村人たちにとっても大きく存在していました(-_-)
それにしても、色々なことを考えさせられる物語ですね。
訓練中に片足を無くして戦場に行けないまま終戦を迎えてしまった若者の行き場の無い苦しみ。
戦死通知が来てもひとり息子の無事を信じて待ち続ける母親。
愛する人の怪我を、これで戦争へ行かなくて済むと喜ぶような事態はもう嫌だという千代子の叫び。
そんな彼らの姿を観ながら、戦争によってどれだけ多くの若者の命が奪われたかや
歪んだ教育の恐ろしさを改めて感じました。
そして、何と言っても息子を亡くした母(島民)と、母を想う息子(イギリス兵氏)のエピソードが印象的でした。
誰もが母の子供であり、母が子の無事を願うという想いは誰の心にも響くのですね。
洞口依子さんの演じる敏江が、ひとり息子を亡くしながらも、敵であった兵士に
お母さんのもとへ無事に帰るのよと告げる姿には泣かされました。
その後、言葉と憎しみを超えて村人とイギリス人たち絆で結ばれていく様子には素直に感動させられました。
今まで知る事の無かったこの物語を映画で体験できて良かったと感じました。
観終った時、とても心が温かくなった気がした1本です。
監督:油谷誠至 出演:比嘉愛未 窪田正孝 洞口依子 中村久美 芳本美代子 螢雪次朗 ベンガル 柄本明
2013年 日本
(20131014)
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