中島京子著の直木賞受賞作を山田洋次監督が映画化したドラマです。
原作は未読ですけど、オレンジ色のチラシを見ていたので、どんな作品だろうなと気になっていました。
タイトルから想像するよりも、もっと大人な雰囲気の愛と人生の物語でした。
松たか子さんと倍賞千恵子さんの圧巻の演技に引き込まれました~
遺された大学ノートから始まる物語です。
生涯独身で過ごしてきたタキ(倍賞千恵子)は、小さなアパートで独り暮らしをしていましたが、
先日、急な病で亡くなってしまいました。
甥や姪たちがアパートを片付けていたところ、タキが孫のように可愛がっていた健史(妻夫木聡)あてに
大学ノートの入った箱が遺されていました。
タキの家へよく遊びに行っていた大学生の健史は、そのノートが彼女の自伝であることを知っていました。
タキが女中奉公をしていた戦前から戦後にかけて想い出を、毎日のように書いていたのです。
そこには姉たちと同様に年頃になって、山形から東京へ出て女中奉公に入ったことから始まり、
最初の家の推薦で、モダンな可愛い家に住む平井家で奉公するようになったこと。
そして、素敵な奥様との幸せの日々と、タキの心の奥底にしまった秘密について書かれていました。
それにしても、一筋縄では行かない物語ですね~
タキのノートに書かれていた幸せの日々は、やがて大きな秘密を持ち始めます。
美しい奥様・時子(松たか子)が夫以外の人と恋に落ちてしまったのです。
相手は夫の会社の若者・板倉(吉岡秀隆)で、クラシック音楽を聴くなと、
夫の会社の他の人とは全く違う芸術家タイプの男でした。
二人は惹かれ合い、戦争が二人を引き裂くまで人目を盗んでは会っていました。
現代に甦ったノートの中には、タキが当時には誰にも言えなかったことや時子のことが書かれています。
そして、タキは本当の想いを心にしまったまま逝きました。
何故、平成で独り暮らしをしているタキは激しく泣いていたのか。
その哀しみにくれる姿が心に焼きつきました。
時子の本当の想いはどこにあるのだろうと、見終わった後も考えさせられた1本です。
監督:山田洋次 出演:松たか子 黒木華 片岡孝太郎 吉岡秀隆 妻夫木聡 木村文乃米倉斉加年 倍賞千恵子
2013年 日本
(20131128)
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公式サイトはこちらへ http://www.chiisai-ouchi.jp/opening.html追伸
この映画は完成披露試写会で観ました。公開は2014年1月25日以降の予定です。