樋口直哉著の同名小説を池松壮亮&橋本愛主演で映画化した青春ドラマです。
原作は未読ですけど、このキャストなら観てみたいなあと気になっていました。
高校3年生のひと夏の輝きを丁寧に映し出しているような物語が描かれていました。
忘れられない恋と新しい人生が交錯した夏でした。
夏休みを控えたある日の高校の日常から始まる物語です。
浅井由(池松壮亮)は高校生活最後の夏を特に何をすることも無く迎えつつありました。
親友の岡田始(前野朋哉)が強者に使いっ走りにされていても、表立って動くことは無く、
卒業するまでの辛抱だと始が粋がるのを聞いて、それで良いのか?と問いかけることしか出来ません。
それでも、二人は一緒に過ごす時間が一番長い友で、この高校生活を乗り切る同士でもありました。
ある日、始が同じクラスで気になっている入江杏(橋本愛)を休日の遊びに誘いたいと言い始めます。
高校生活の大切な想い出を創っておきたいと切実に願ったのです。
彼はチャレンジしようとしますけど、どうしても誘う言葉が出てきません。
そして、杏の親友・野中春(小林涼子)と気安く話せる仲の浅井に、杏と春と浅井の4人で
日曜日に出かけるよう誘ってくれないかと頼み込みます。
そうして重い腰を上げた浅井の行動が、彼と始、そして春と杏の心を大きく動かして行きました。
それにしても、心に響く物語でした~
誰にでも記憶にあるような揺れる弱い心と淡い恋心が丁寧にスクリーンに映し出されています。
池松壮亮さんと橋本愛さんの憂いのある表情や、小林涼子さんと前野朋哉さんの必死な表情から、
高校生らしい真っ直ぐな想いやためらい、苦しい後悔がじわじわと伝わって来ました。
そして、そんな彼らの姿にドキドキさせられました。
また、大人の事情で翻弄される子供の立場の難しさと、それを乗り越えるしなやかさも伝わってきました。
特に女の子たちの強さには、はっとされられました。
幼い恋に捕らわれている浅井を解き放とうとする杏の叫び、浅井に必死に呼びかける春の姿から
彼女たちの潔さと強さが伝わって来ました。
そして、その眩しさに目を細めながら、いっぱいのエネルギーを貰った気がしました。
スクリーンが明るくなっても、もう少し座っていたい気がしました。
観終った時、素敵な作品に出会えたなあと感じた1本です。
監督:飯塚健 出演:池松壮亮 橋本愛 小林涼子 前野朋哉 香椎由宇 河原雅彦
2013年 日本
(20140413)
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