ホフマンの演じるギュンターと一緒に叫んでジタバタしたくなりました~
薄暗い夕暮れのハンブルクの港で、一人の若者が海から這い上がってくるところから始まる物語です。
一晩を運送される前の車の中で過ごした彼は、フードで顔を隠し、背中を丸めて街を歩き回っていました。
その姿に違和感を持った住民からの情報がギュンター・バッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)の
率いる諜報機関のチームへと入ります。
早速、街の監視カメラの映像が集められ、その若者の正体がイスラム過激派として国際指名手配されている
イッサ・カルポフ(グレゴリー・ドブリギン)というトルコからの密入国者だと判明しました。
さらにイッサが話しかけていた男を探し出して接触したギュンターは、イッサが一人の銀行屋を
探していることを知ります。
イッサの目的が何かを探るために彼の監視が始まった頃、同じくイッサを追い始めた他のチームから
居所を教えて彼を確保させろという強い要請が入りました。
それにしても、ジョン・ル・カレの描くスパイの世界は精神的にも厳しいですね。
人を簡単に裏切って傷つけても、世界平和のためと言えば赦されてしまうなんて哀しいです。
しかも、今回のイッサのキャラクターにはモデルがいると観た後に知って、さらに怖くなりました。
そして、そんな世界の中で動いていく人間模様の変化に、一気に引き込まれました。
また、ギュンターや彼を取り巻く人々を演じる俳優陣が豪華でした。
ギュンターの優秀な部下たちや、イッサが関わる銀行員、弁護士たちをはじめとして、
彼の獲物を虎視眈々と狙っている他のエージェントたちも、みんな役者が揃っています。
特に銀行員役のウィレム・デフォーやイッサを擁護する弁護士役のレイチェル・マクアダムス、
911以降は強硬路線へ変更したCIAのエージェントを演じたロビン・ライトはさすがでした~
そして、何と言ってもフィリップ・シーモア・ホフマンが良かったです。
彼の演じるギュンターは昔ながらの考え方で諜報活動をしていきます。
冷酷なのか優しいのか騙しているのか本気なのか相手に悟らせないまま、相手を転がしていきます。
もちろん狙った獲物の追い詰め方は、隙がありません。
そんなギュンターのキャラクターにホフマンの佇まいはぴったりでした。
この作品をホフマンが気に入っていたのも納得だなと感じました。
観終った時、まだまだ活躍する姿を観たかったなあとしみじみ思ってしまった1本です。
監督:アントン・コービン 出演:フィリップ・シーモア・ホフマン レイチェル・マクアダムス ウィレム・デフォー ロビン・ライト グレゴリー・ドブリギン ホマユン・エルシャディ ニーナ・ホス ダニエル・ブリュール
2013年 原題:A MOST WANTED MAN
(20141112)
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