トラッシュ！ この街が輝く日まで

ブラジルを舞台に貧困の中で生きる少年たちの命をかけた冒険を描いたドラマです。
予告編を観て、この少年たちがどんなことを成し遂げるのだろうと気になっていました。
ゴミの山と共に暮らしていた彼らの純粋な強さと行動力に引き込まれてしまうよな物語が描かれていました。

彼らはただひたすら正しいことを求めて突き進んでいきました。

一人の男が警察に捕まってしまうところから始まる物語です。
自宅を警察に急襲された男は逃げ切れずに持っていた財布をゴミ運搬のトラックの荷台へ投げ入れます。
警察は男の情報を聞きだすために拷問をしますが彼は口を割りません。
男は死に追いやられ、警察は財布を捜すためにゴミ捨て場へと捜索の手を伸ばしました。

ゴミ捨て場の近くには、ゴミを拾って生計を立てている貧困層の人々が暮らしていました。
ゴミ拾いをしていた少年ラファエル（リックソン・テベス）は、偶然に警察が捜している財布を見つけました。
財布にはお金と身分証の他に、持ち主の娘の写真とアニマルロト、カレンダーなどが入っていました。

ラファエルは兄弟のように仲のいいガルド（エデュアルド・ルイス）に財布を見せてお金を折半します。
ガルドは財布を警察に届けて賞金を貰おうと無邪気に提案しますけど、ラファエルは警察を全く信用していません。
でも、ガルドが渡したお金を一度に全て使ってしまったことから警察に目を付けられます。
そして、ガルドの傍に居たラファエルはその様子から財布のことを知っていると疑われ、
情報を聞き出すために警察にさらわれてしまいました(T_T)

それにしても、すごい子供たちでした～
悪徳刑事をはじめとする警察が動いているなら、財布を警察へ渡してはいけない勘で悟っています。
そして、情報がほとんど無いために限られた情報で次の情報を求めながら、真実へと向かっていきます。
スラム街を駆け巡りながらの謎解きは、彼らと一緒に走っている気分になってドキドキしました。

また、物語は政治家の汚職や警察の悪事、貧富の差や差別といった社会問題も提示しています。
警察に少年が簡単に誘拐されて殺されるのも当たり前という状況は、どう見ても異常です。
そんな状況が現在のブラジルにもあるのだろうなと改めて考えさせられました。

そして、何と言っても3人の少年を演じた子供たちの存在感が最高でした～
オーディションで選ばれた彼らは、表情も行動も本当に生き生きと躍動しています。
きっと彼らの輝くような姿を映し出せたのは監督さんの力もあるのでしょうね。
スクリーンに映し出された彼らは本当に純粋で真っ直ぐでした。

少年たちの起こした行動は大人たちを動かして社会現象になっていきました。
観終った時、こんな社会現象が現実にも起こったら…といろいろ考えたのと同時に、
子供たちの笑顔が心に残った1本です。



監督：スティーヴン・ダルドリー　出演：リックソン・テベス　エデュアルド・ルイス　ガブリエル・ウェインスタイン　マーティン・シーン　ルーニー・マーラ　バグネル・モーラ　セルトン・メロ
2014年　イギリス　原題：TRASH

→公式サイトはこちらへ　http://trashmovie.jp/