天童荒太著の同名小説を堤幸彦監督が映画化した人間ドラマです。
原作は未読ですけど、予告編を観てこの主人公はどんな人なのだろうと気になっていました。
旅をし続ける主人公の歩みはとても静かで、その姿は温かさと共に頑固さを感じるくらい強く見えました。
彼の心はどれくらいの悲しみを抱えていたのだろうと考えてしまいました。
坂築静人(高良健吾)は旅をしながら、亡くなった人たちを悼み続けていました。
道端に花が供えてあるのを見つけると、近所の人に話を聴いては祈るように悼みます。
その姿はちょっと異様で、彼の姿を見かけた人は何をしているのかと問い質したくなります。
実は彼自身も、その質問にはうまく答えることが出来ませんでした(-_-)
そんな旅の中で、彼は倖世(石田ゆり子)という女性と出会います。
何か事情がありそうな倖世は、歩み続ける彼の後ろに付いていくように旅を始めます。
彼女には密かな目的があったのです。
それは彼に自分を殺してもらうことでした。
それにしても、不思議な物語でした。
原作は未読なので予告編の情報くらいしかなかったのですけど、主人公の静人の旅が何とも不思議です。
彼は亡くなった人を悼みながら旅をしていきます。
それはまるで修行僧が修行をしているようでもあります。
でも、彼は自分自身の心だけを頼りに進んで行きます。
人の死を受け止め、亡くなった人が誰を愛し、誰に愛され、誰に感謝されたのかを知ってから祈ります。
そして、自分の行為が誤解されることも受け止め、
まるでお地蔵様のように優しい雰囲気で祈るように悼みます。
その姿に観ている方も癒される気分になりました。
静人の旅を続ける姿と共に、彼を旅立たせた母(大竹しのぶ)の姿も印象に残りました。
観終った時、こんな母の下に生まれて、静人は幸せだったろうなあと思った1本です。
監督:堤幸彦 出演:高良健吾 石田ゆり子 井浦新 貫地谷しほり 山本裕典 平田満 椎名桔平 大竹しのぶ
2014年 日本
(20150126)
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公式サイトはこちらへ http://www.itamu.jp/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は2月14日以降の予定です。