選ばれし少女たち ～第12回ラテンビート映画祭より～

今日（10月31日）に観た映画のことの続きです。

2本目は「選ばれし少女たち」。
あらすじを読んで、これは観るのが辛そうだなあとは思ったのですけど、覚悟を決めてチャレンジしてみました。

大人たちの決めたルールの中に閉じ込められてしまった少年少女たちの姿が痛々しかったです(T_T)

アメリカのサンディエゴとの国境の町ティファナを舞台に、一人の少女の残酷な運命を描いたドラマです。
14歳の少女ソフィアが恋した少年ウリセスは、実は違法に売春宿を経営する一家の末っ子でした。
彼は売春婦にさせる目的でソフィアに近付いたのです。
でも、自分が本当にソフィアに恋していることに気付いたウリセスは、彼女に事情を話して逃げ出そうとします。
でも、あっけなく父と兄に捕まって折檻され、ソフィアは売春宿へ強制的に入れられてしまいました。

警察もグルになっているほどの組織的な売春宿のため、簡単に逃げ出すことは出来ません。
また、ソフィアが逃げ出すと彼女の家族に危険が及ぶので、人質を捕られているのも同然でした。
でも、彼女を助けるためにウリセスの父が出した条件は、身代わりの少女を新たに捕まえることです。
ウリセスは少女を騙す罪悪感に苛まされながらも、新しいターゲットを探すために街へ繰り出しました。

それにしても恐ろしい状況でした(T_T)
これがもし少女の父親がリーアム・ニーソンだったら、警察署ごと組織を破壊してくれるかも知れませんけど
この作品の少女たちは売春を強要されるだけです。

男だけで無く、ウリセスの家族は彼の母親を含め、誰もが少女たちの犠牲を当然のように思っています。
普通の家庭に育って無理やり攫われて来た14歳の少女に向かって、あなたはここで働くのよと言うのです。
快楽を求めてやってくる客も含めて犯罪社会の犠牲になっていく少女たちの運命の残酷さが恐かったです。

また、恋する少女を無理やり奪われ、家と家族に縛られてしまったウリセスもとても可哀想でした。
観終った時、二人の純粋な恋はもう二度と元には戻らないと思うととても切なくなってしまった1本です。



監督：ダビ・パブロス　出演：ナンシー・タラマンテス　オスカル・トレス　レイディ・グティエレス
2014年　メキシコ＝フランス　原題：Las Elegidas
（20151031）

→ラテンビート映画祭の公式ホームページはこちらへ　http://lbff.jp/film.html