橋爪功さんの楽しい演技に、何度も笑わされてしまいました(^^ゞ
ある夜の願い事から始まる物語です。
お酒好きの平田周造(橋爪功)は今夜も友人と行き付けの飲み屋で楽しいお酒を酌み交わしていました。
そこそこに酔って良い気分のまま帰宅した周造は、花束を持っているのに気付きます。
「何だ、その花は?」と訊ねた夫に妻の富子(吉行和子)は「私の通っているカルチャーセンターでは、
誕生日に花束を贈ってくれるの。今日は私のバースデーなの」と静かに微笑みながら答えました。
普段は妻のことなど全く気にしない周造でしたけど、さすがにその返事には言う言葉が見つかりません。
そこで、自分も何かプレゼントしようか?高いものはダメだけど…と妻に言います。
すると妻は静かに微笑んだまま、欲しいものは450円よと言いながら離婚届を差し出しました。
その届けはほとんど記入が終わっていて、あとは周造のサインと印のみです。
そして、冗談だろうと笑う夫に妻は「本気よ」と静かに答えました。
それにしても、ついつい笑ってしまう作品でした~
家族のドタバタコメディですけど、どちらかと言えば橋爪功さん演じるお父さんの物語です。
もう、この橋爪さんの演技が可笑しいのです。
いばりん坊で頑固者。家族の前では偉そうな態度をとるのに、ずっと変わらないと思っていた自分の生活に
天変地異並の激震が走ってしまい、どうしていいか分かりませんというキャラクターで見事に笑わせてくれました。
物語のポイントは、お父さんはお母さんからのアクションをちゃんと受け止められるかです。
でも、お父さん本人がそこに全く気付いていないのが困りものですね。
この期に及んで、気持ちで相手を思っていれば良いとか言って、自分の大切な想いを言葉にしようとしません。
観ていて、だから離婚なんていわれちゃうのよねとか思ってしまいました^_^;
両親のために集まった会議で、時々子供たち夫婦が自分のことを棚に上げて喧嘩をしていますけど、
やっぱり頼りになるのは『東京物語』と同じで末っ子の恋人でした。
観終った時、劇場が監督さんの願いどおり笑いでいっぱいになって良かったなと感じた1本です。
監督:山田洋次 出演:橋爪功 吉行和子 西村雅彦 夏川結衣 中嶋朋子 林家正蔵 妻夫木聡 蒼井優 小林稔侍 風吹ジュン
2015年 日本
(20160119)
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公式サイトはこちらへ http://kazoku-tsuraiyo.jp/追伸
この映画は完成披露試写会で観ました。公開は3月12日以降の予定です。