実在の歌手をモデルに音痴で有名な主人公の愛と夢の軌跡を描いた作品です。
予告編を観て、面白そうだなあどんな物語になるのだろうと気になっていました。
あまり想像していなかった意外な展開に、主人公がとても気の毒になってしまいました。
それでも楽しそうに歌っている姿が印象的でした♪
ある屋敷で開かれたチャリティ音楽会から始まる物語です。
主催者のマルグリット男爵夫人は歌をこよなく愛する社交家で、
この日も素晴らしい歌手たちの歌声を楽しんでいました。
音楽会の目玉はマルグリット本人の歌です。
彼女は愛する夫が外出から戻ってくるのを今か今かと待ち構えていました。
しかし、夫は車の故障を偽装して時間を潰していました。
彼には妻の歌を聴きたくない理由があったのです。
待ちきれなくなったマルグリットは、時間が来ると美しい衣装を着て客の前へ登場します。
期待と共に彼女を待ち構えていた観客たちは、その歌の酷さに圧倒され、笑いを抑えられなくなりました。
それにしても、なかなか切ない物語ですね。
歌を愛し、歌こそ我が人生と思っているのに、思いっきり下手なのです。
しかも、本人はその真実に全く気付いていません。
あまりにも堂々と無邪気に歌うので、周りの人も真実を告げられません。
実は夫はそんな妻に愛想をつかしていますが、事情もあってそれも本人には告げられませんでした。
誰もが気遣ってはくれるけど愛してくれないのは、やっぱり本人には辛いものがあります。
そんな中、彼女は自分の歌を好意的に批評してくれた新聞記事を読んで有頂天になります。
自分の歌を認めてもらうことは自分自身を認めてもらえることでもあります。
でも、物語は本人のやる気とは正反対に明るい方向へは向かっていきません。
まるでオペラのように悲劇へと向かっていきました。
実際のモデルはアメリカ人で我が道を貫き、カーネギーホールでもリサイタルを開いた人です。
やっぱり下手ですけど、多くの人に愛された人でもありました。
観終った時、フランスで創られるとこういう物語になるのだなあとしみじみと思った1本です。
監督:グザヴィエ・ジャノリ 出演:カトリーヌ・フロ アンドレ・マルコン ミシェル・フォー クリスタ・テレ シルヴァン・デュエード
2015年 フランス 原題:MARGUERITE
(20160208)
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公式サイトはこちらへ http://www.grandemarguerite.com/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は2月27日以降の予定です。