3つの新作発表会を追いながら、スティーブ・ジョブズの人間性を浮き彫りにしていく物語を
ダニー・ボイル監督&マイケル・ファスベンダー主演で紡がれた作品です。
予告編を観て、マイケル・ファスベンダーがどんな人物像を見せてくれるのだろうと気になっていました。
強烈なカリスマ性を持ちながらも家族愛の薄い人生を送ってきた主人公の姿に、
様々な想いが伝わってくるような作品でした。
目まぐるしく繰り広げられる会話劇に、すっかり引き込まれてしまいました(^^ゞ
1984年Macintosh、88年NeXT Cube、98年iMacという3つの新作発表会が始まる直前の濃密な時間を
スティーブ・ジョブズの部下たちや友人、家族との会話で描いていきます。
私はこの人のことをアップルの人ということと名前は知っていても、それ以上のことは知りません。
なので、3回の発表会の間に何があったかもよく知りません。
ただし、この間には5歳の少女が19歳になるような時間が過ぎています。
彼には元恋人が産んだ娘リサがいましたが、何故か彼は娘を自分の子供だと認めようとはしません。
5歳のリサはパソコンで楽しそうに絵を描き、9歳のリサは父と暮らしたいと抱きつき、
19歳のリサは父に心を閉ざして敵愾心を持っています。
そんな娘に父としてどう接したらよいか分からないようなスティーブの不器用さが印象的でした。
また、スティーブ自身は技術者ではないのでパソコンを作ることは出来ませんけど、
オーケストラの指揮者のような役割を担っていると理解しているところが面白かったです。
観ていると、彼は理想家であると同時に、コントロールフリークなところがありそうかもと感じました。
それだけに、周りの技術者たちと毎度のように衝突していく様子には、ちょっと苦笑いでした。
あと、1984年の時に見たタイム誌の表紙にあった裏の意味を、1998年の発表前に改めて
ジョアンナ(ケイト・ウィンスレット)から告げられた時に見せる顔が何とも可笑しかったです。
限られた時間の中で次々と繰り出される難題を解決していく展開に、
ちょっとだけ『スラムドッグ$ミリオネア』のスピード感を感じました。
観終った時、緊張感溢れる物語の終わりに見せた彼の笑顔にほっとした気分になった1本です。
監督:ダニー・ボイル 出演:マイケル・ファスベンダー ケイト・ウィンスレット セス・ローゲン ジェフ・ダニエルズ マイケル・スタールバーグ キャサリン・ウォーターストン
2015年 アメリカ 原題:STEVE JOBS
(20160216)
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公式サイトはこちらへ http://stevejobsmovie.jp/