先生の信じる心と生徒の真実を感じる心が新しい未来を切り開いていきました。
高校の新学期開始日から始まる物語です。
パリ郊外の貧困家庭の多い地域にあるレオン・ブルム高校には様々な宗教や人種の生徒たちがいます。
でも、最近の学校ではイスラム教のスカーフの問題など、宗教や人種で多くの軋轢が生まれていました。
教師暦20年のアンヌ・ゲゲン(アリアンヌ・アスカリッド)が担当となったクラスはとても荒れていました。
真面目だけど成績不足で希望していたコースへ行けなかった子や勉強よりもおしゃれに夢中な子が多く
人種も多様化していて生徒同士が互いに分かり合えないようなクラスだったのです。
先生が教室へ来ると、まず、帽子をとりなさい、イヤホンを外しなさい、スマホを仕舞いなさいなど
いろいろ注意しないと授業が始められないような状態でした。
他のクラスに比べて成績が低く、問題行動で注意される子も多いと他の教師から指摘されるようになった時、
ゲゲン先生はこのクラスの生徒たちにをテーマにした全国歴史コンクール出場の提案をします。
成績には関係ないので点数は付けないし自由参加という条件でしたけど、生徒たちは猛反発です。
でも、「あなたたちを信じているのは先生だけ?」という言葉に、彼らも参加を考え始めました。
それにしても、この先生は頑張りましたね~
校長に無駄なことと言われても、笑顔でニッコリと切り返す姿はカッコいいです。
彼女は生徒たちに向って特に感動的な演説や行動をする訳では無いのですけど、
その静かな熱意は確実に生徒たちへ届いていました。
また、コンクールのテーマにした“アウシュヴィッツ”の学習は心に残るものでした。
中でも15歳で強制収容所に送られたレオン・ズィゲルの証言は実際に子役たちの前で行われたもので
その言葉のひとつひとつがとても心に響いて来ました。
観終った時、一人の教師との出会いで人生が変わるって本当にあるのだなと思うのと同時に
これから、このモデルとなったクラスの子達も強く生きられる人生を歩んでいって欲しいなと願った1本です。
監督:マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール 出演:アリアンヌ・アスカリッドアハメッド・ドゥラメ
2014年 フランス 原題:LES HERITIERS/ONCE IN A LIFETIME
(20160627)
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公式サイトはこちらへ http://kisekinokyoshitsu.jp/追伸
この映画はフランス映画祭2016で観ました。公開は8月6日以降の予定です。