改めて知ってみると、本当に理不尽な出来事だなあと考えさせられました。
第二次世界大戦が終わって冷戦の時代が始まると、共産主義者を嫌悪する気運が高まり
ハリウッドでも議会による赤狩りが始まりました。
日頃から労働問題に関心を持ち賃上げ運動などの活動を行っていた
脚本家ダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)は議会から目を付けられます。
また、人気コラムニストのヘッダ・ホッパー(ヘレン・ミレン)も共産主義者へ攻撃的な言動を行い始め
映画業界全体に赤狩りが広まり始めました。
議会の公聴会で反抗的な言動をしたトランボは議会侮辱罪で訴えられます。
同時にトランボへの仕事の依頼もピタリと無くなりました。
共産主義者のレッテルが貼られた脚本家の映画は観客に嫌われると業界内外から圧力がかかったのです。
でも、生活費と裁判費用の必要だった彼は、これまでにない主人公の1日を描いた脚本を書き上げ、
友人の脚本家イアン・マクラレン・ハンター(アラン・テュディック)に名前を貸して欲しいとお願いします。
その映画「ローマの休日」は予想以上に大ヒットし、アカデミー賞まで受賞してしまいました。
それにしても、本当に何でこんな状況が起きてしまったのだろうと思うくらいハリウッドにとって嫌な時代でしたね。
特に悪いことをしたとは思えないのに刑務所にまで入れられてしまうなんて酷いです。
こんな状況がアメリカで起きたのかと改めて知ってびっくりでした。
また、有名な大スターや後に大統領になった人もこの赤狩りに関わっていたのかと思うと
人の見方が変わるなあと思ってしまいました。
そんな中、主人公トランボの暗躍ぶりは観ていて興味深かったです。
特に、金儲け主義の映画製作者キング兄弟がトランボを受け入れる展開には、
トランボって人を乗せるのがうまいなあと思ってしまいました。
金儲け一筋のキング兄弟にとって、低予算映画をそこそこ面白く安価で大量生産できるなら、
それに越したことは無いのです。
そういう割り切り方を信念として貫くフランク・キング(ジョン・グッドマン)はある意味強くて面白い人でした。
でも一番は、仕事に追い立てられ、家族への愛も忘れそうになった時に、ちゃんと妻の進言に耳を傾けて
家族へ目を向けられる人だったからこそ、厳しい時代を乗り越えられたのかも知れないなと感じました。
観終った時、そんなことをつらつらと考えながら久々にプログラムを買ってしまった1本です。
監督:ジェイ・ローチ 出演:ブライアン・クランストン ダイアン・レイン ヘレン・ミレン マイケル・スタールバーグ ルイス・C・K ジョン・グッドマン エル・ファニング デビッド・ジェームズ・エリオット アラン・テュディック ディーン・オゴーマン
2015年 アメリカ 原題:TRUMBO
(20160730)
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公式サイトはこちらへ http://trumbo-movie.jp/