昨年公開されてカンヌ映画祭でも話題になった家族のドラマです。
今回、ららヨコハマ映画祭で上映される作品の中でこれだけ未見だったのでチャレンジしてみました。
予想以上に怖い展開にゾッとさせられて、心がざわざわするような作品でした。
小さな町工場を営む鈴岡利雄(古舘寛治)は敬虔なクリスチャンの妻・章江(筒井真理子)と
小学生の娘・蛍(篠川桃音)の3人家族で、
いつも蛍の練習するオルガンの音色が響くような穏やかな生活を送っていました。
ある日、利雄が工場で働く様子を表からじっと見つめる男(浅野忠信)が現れました。
その男の顔を見た利雄はすぐに昔なじみの八坂(浅野忠信)と気付き、彼を迎え入れます。
そして、今は施設にいるという八坂を住み込みで雇うとすぐに決めてしまいました。
外出から帰宅した章江は知らない従業員が働いているのに驚いた上に、住み込みだと知って困ってしまいます。
でも、夫の言葉と八坂の礼儀正しい様子に押されてしぶしぶ承諾します。
そして、夫が無関心な宗教や音楽に詳しい八坂に次第に惹かれはじめました。
それにしても、厳しい話だなあと感じました。
前半と8年後の後半で全く家族の状況が変わります。
夫の隠していた罪。それが八坂という男を引き寄せ、家族を一気に不幸にしていきます。
特に夫はあまり変わらないように見えるのですけど、妻と娘は劇的に変わってしまいます。
その状況があまりにも酷いので胸が締め付けられました(T_T)
夫の罪の告白と、その罪のために今の娘があるというような言葉に、妻が激怒する姿が心に残りました。
観終った時、何とも言葉に出来ない気持ちになってしまった1本です。
監督:深田晃司 出演:浅野忠信 筒井真理子 古舘寛治 太賀 篠川桃音 真広佳奈
2016年 日本・フランス
(20170318)
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公式サイトはこちらへ http://fuchi-movie.com/追伸
この日は上映後に撮影監督の根岸憲一さんのトークショーがありました。
普段はお話を聞く機会のない専門分野の人だったので、とても興味深かったです。
全く違う雰囲気になる前半と後半では全体の色を変えたり、悪魔か死神のような八坂は影を濃くしたりとか、
改めて知ると凄く面白いなと思いました。
こういう心遣いや技術が映画に奥深さを作って観る人の心に伝わってくるのねと納得でした(^^)