伊賀の国内では毎日のように小競り合いを行なって戦いを繰り広げていました。
ほとんど意味の無い戦いですけど、戦っている人々は命懸けです。
その日も攻め入る方が際どい戦いになっていましたけど、無門(大野智)によって門が開かれると
今度は攻め入る方が優勢になってきました。
そんな中、無門は下山次郎兵衛(満島真之介)と戦うことになります。
もちろん、無門は高額の報酬を約束されたために戦っているだけです。
下山次郎兵衛は頑張っていましたけど、身のこなしが軽い無門の前には手が出ません。
そして、無門はあっけなく下山次郎兵衛に刀を刺し入れました。
それにしても、後からじわじわと怖さを感じる物語でした。
観終った時はすごいアクションだったなあ、切ない物語だなあ…などと思ったのですけど、
後から考えると人の死をあまりにも軽く受け止めてしまう伊賀の人々の心理が怖くなって来ました。
戦うのは金のためというのは理解できるのですけど、だからと言ってまるでスイッチを切るように
相手の命を取っていくのは怖ろしいことです。
弟を愛する心を持っていた下山平兵衛(鈴木亮平)はそのことに改めて気付き、
敵の力を利用してこの狂った国を滅ぼそうとします。
伊賀では人の心に術を掛けて操る技があるようです。
下山平兵衛の弟を殺させて彼を敵国へ寝返させるのも、その技の一環のようなことを言っていました。
もしかしたら、最初は人を殺すことに何も感じないようだった無門が最後には人の心を取り戻したのも
逆にお国と下山平兵衛が無門に術を掛けたのかもと思いました。
無門はお国からは人を好きになる気持ちを与えられ、
下山平兵衛からは命懸けの願いを守ること、自分の欲望よりも他人との約束を尊重することを教えられ、
そして、再びお国からは命懸けで人を愛して慈しむ心を与えられます。
そんな展開は切ないですけれど、ちょっとほっとした気分にもなりました。
そんなことをつらつらと考えながら、そう言えば中村義洋監督って
ダークな心を描いた作品も得意だったなあとちょっと思った1本です。
監督:中村義洋 出演:大野智 石原さとみ 鈴木亮平 知念侑李 マキタスポーツ 満島真之介 でんでん きたろう 立川談春 國村隼 伊勢谷友介
2017年 日本
(20170701)
→
公式サイトはこちらへ http://www.shinobinokuni.jp/index.html