1本目は『
シップ・イン・ア・ルーム』です。
フィリペ(ツヴェタン・アレクシエフ)はフリーの報道カメラマンです。
彼が新規開店のスーパーの模様を撮りに行った時、偶然にパヴラ(エレナ・ディミトロヴァ)と出会います。
彼女にはトラウマで家から一歩も出ることが出来なくなった弟イヴァン(イヴァン・ディミトロフ)がいましたが、
間も無く住んでいるアパートから出なくてはならないという事情がありました。
彼女がフィリペへ安い部屋を知らないかと尋ねると、彼は自分の住んでいる場所を紹介します。
そこは公共施設の大きな廃屋でした。
それにしても、静けさが印象に残る作品でした。
音楽はほとんど無く、自然の音だけでほとんどのシーンが描かれています。
しかも、主人公たち3人は揃いも揃って無口。必要なことも言葉にしていないかも。
気が遠くなりそうになるほど静かでした。
そんなフィリペはイヴァンのために仕事の合間をみては、外の風景や街の人々の様子をビデオ撮影してきます。
白いペンキで窓のように塗られた壁に、プロジェクターで映し出される映像は静かで優しかったです。
出だしの新規開店のスーパーで繰り広げられた喧騒とは真逆な映像に、イヴァンは少しずつ癒されているような気がしました。
観終わってQ&Aを聞いた時、この物語の静けさの意味が少し分かった気になった1本です。
監督:リュボミル・ムラデノフ 出演:ツヴェタン・アレクシエフ エレナ・ディミトロヴァ イヴァン・ディミトロフ カテリナ・ケレミッドチエヴァ
2017年 ブルガリア 原題:SHIP IN A ROOM/Korab v Staya
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東京国際映画祭のサイトはこちらへ http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=232本目は『
回転木馬は止まらない』です。
短編集のような作品です。
亡き妻を忘れられない男。新婚旅行中の夫婦。旅する3人組のバンド娘。娼婦。
母親を殺した男を追う娘。立ち退き命令により家を壊された農民。
それぞれのエピソードに同じ型のジープが登場します。ジープで繋ぐ短編集ですね。
でも、ほとんどが悪夢のような物語でした(-_-)
インドネシアの現実や社会情勢などを描いた作品のようなのですけど、
人間や社会のダークな部分を繋ぎ合わせたような作品なのです。
亡き妻を忘れられない男はジープを妻の代わりに愛そうとしますが、ただ虚しい現実に嘆きます。
新婚旅行中の夫婦と言っても、夫は65歳で妻は17歳。どう考えても政略結婚です。
精神的に追い詰められた妻が起こした行動は凄まじかったです。
他にも家を壊され、立ち退き反対のプラカードで反対運動をしていた農民2人の行く末は…
タイトルと場面写真から、もう少し明るい物語を予想していたので、思いっ切り打ちのめされた気分になりました。
現実は本当に甘くないよねとため息をついた1本です。
監督:イスマイル・バスベス 出演:コルネリオ・サニー カリナ・サリム スカール・サリ ヤン・ウィジャヤ デア・アナンダ レイラニ・ヘルミアシー シャルフィア・ファラ・プラティカ ガンディ・フェルナンド ポール・アグスタ ナターシャ・ゴット ルクマン・ロサディ ヴェルディ・ソライマン イブヌ・'グンドゥル'・ウィドド ギラス・バスウォンド
2017年 インドネシア 原題:The Carousel Never Stops Turning/Mobil Bekas dan Kisah-kisah Dalam Putaran
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公式サイトはこちらへ https://www.facebook.com/mobilbekasdankisahkisahdalamputaran/→
東京国際映画祭のサイトはこちらへ http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=161